完結済み漫画

漫画「特攻の島」の感想。海の特攻兵器「回天」をテーマにした漫画

こんにちはユレオです。

日本に住んでいると世界は平和なんだと思いがちですが、昨今諸外国では紛争やテロなど平和から程遠い日常を経験されている方がおられます。

そんな日本も今から72年前には太平洋を舞台にしたアメリカをはじめとした複数の国と戦争を行っていました。

戦争の結末は皆さんご存知の通りですが、この太平洋戦争は第二次世界大戦の局面の一つで、大日本帝国など枢軸国と、連合国(主にアメリカ合衆国、イギリス帝国、オランダなど)の戦争で、大変熾烈な戦いとなり日本は苦しい状況に追い詰められます。

今日はそういった戦争末期の日本において開発された海の特攻兵器「回天」をテーマにした漫画のご紹介です。

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タイトル:特攻の島
作者  :佐藤秀峰
連載期間:2006年~2018年
巻数  :全9巻

タイトルにある「特攻」とは「特別攻撃」の略で、「特別攻撃隊」としては爆弾を抱えた航空機などで体当たりする神風特攻隊が有名です。

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漫画「特攻の島」のあらすじ

第二次世界大戦の大日本帝国海軍が開発した究極の兵器「回天」をテーマにした漫画です。

「回天」とは「魚雷を人間が操縦し、敵艦への命中率を高める」という考えから考案された兵器で人間魚雷と呼ばれる小型の潜水艦で、大量の爆薬を搭載し船艇ごと敵艦へ特攻する兵器で、出撃すれば生きて帰ることはありません。

主人公の渡辺裕三は福岡海軍航空隊でしたが「生還を期さない兵器」という特殊兵器への希望調査に志願します。

そこで渡辺は人間魚雷回天と創案者の一人、仁科関夫中尉と出合います。

仁科中尉は自分の生きる方向性をはっきりと持ち、回天と共に死を覚悟し、渡辺に対して「貴様は生きろ」と言い出撃して戦死します。

回天に乗ることは死を意味し、国家の為に志願して来たはずの渡辺は「死ぬための訓練」に疑問を抱きつつ「個人」の死について意味を見つけれずにいましたが、渡辺は死に意味が持てるどうかを見極めて人生を自分の物にするために命を燃やすことを決心します。

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漫画「特攻の島」の見どころ

この漫画は史実が元となっており、「回天」の発案を行った仁科関夫など実在の人物が登場します。

特攻隊については神風特攻隊が有名ですが、人間魚雷「回天」についてはあまり知られておらず、貴重な情報を含んだ漫画で太平洋戦争末期の日本の情勢をリアルに語られています。

回天とはどういった兵器なのか

回天(かいてん)は大日本帝国海軍が開発した人間魚雷であり、日本軍初の特攻兵器で、全長14.7m、直径1m、排水量8tの魚雷の本体に外筒を被せて気蓄タンク(酸素)の間に一人乗りのスペースを設け、簡単な操船装置や調整バルブ、襲撃用の潜望鏡を設けた小型の潜水艦のようなフォルムです。

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「回天」という名称は、特攻部長大森仙太郎少将が幕末期の軍艦「回天丸」から取って命名した。開発に携わった黒木博司中尉は「天を回らし戦局を逆転させる」という意味で「回天」という言葉を使っていた。秘密保持のため付けられた〇六(マルロク)、的(てき)との別称もある。
1944年7月に2機の試作機が完成し、11月8日に初めて実戦に投入された。終戦までに420基が生産された。兵器としての採用は1945年5月28日のことだった。
回天は超大型魚雷「九三式三型魚雷(酸素魚雷)」を転用し、特攻兵器としたものである。九三式三型魚雷は直径61cm、重量2.8t、炸薬量780kg、時速48ノットで疾走する無航跡魚雷で、主に駆逐艦に搭載された。回天はこの酸素魚雷を改造した全長14.7m、直径1m、排水量8tの兵器で、魚雷の本体に外筒を被せて気蓄タンク(酸素)の間に一人乗りのスペースを設け、簡単な操船装置や調整バルブ、襲撃用の潜望鏡を設けた。炸薬量を1.5tとした場合、最高速度は時速55km/hで23キロメートルの航続力があった。ハッチは内部から開閉可能であったが、脱出装置はなく、一度出撃すれば攻撃の成否にかかわらず乗員の命はなかった。
回天が実戦に投入された当初は、港に停泊している艦船への攻撃、すなわち泊地攻撃が行われた。最初の攻撃で給油艦ミシシネワが撃沈されたのをはじめ、発進20基のうち撃沈2隻(ミシシネワ、歩兵揚陸艇LCI-600)、撃破(損傷)3隻の戦果が挙げられている。アメリカ軍はこの攻撃を特殊潜航艇「甲標的」による襲撃と誤認し、艦上の兵士はいつ攻撃に見舞われるかという不安にかられ、泊地にいても連日火薬箱の上に坐っているような戦々恐々たる感じであったという。しかし、米軍がこまめに防潜網を展開するようになり、泊地攻撃が難しくなってからは、回天による攻撃は水上航行中の船を目標とする作戦に変更された。この結果、搭乗員には動いている標的を狙うこととなり、潜望鏡測定による困難な計算と操艇が要求された。
回天の母体である九三式三型魚雷は長時間水中におくことに適しておらず、仮に母艦が目標を捉え、回天を発進させたとしても水圧で回天内部の燃焼室と気筒が故障しており、エンジンが点火されず点火用の空気(酸素によるエンジン爆発防止の為に点火は空気で行われた)だけでスクリューが回り出す「冷走」状態に陥ることがあった。この場合、回天の速力や射程距離は大幅に低下し、また搭乗員による修理はほぼ不可能であったため、出撃を果たしながら戦果を得ることなく終わる回天が多く出る原因となった。また最初期は潜水艦に艦内からの交通筒がなかったため、発進の前に一旦浮上して回天搭乗員を移乗させねばならなかった。当然のことながら敵前での浮上は非常に危険が伴う。回天と母潜水艦は伝声管を通じて連絡が可能だったが、一度交通筒に注水すると、浮上しない限り回天搭乗員は母潜水艦に戻れなかった。また、エンジンから発生する一酸化炭素や、高オクタン価のガソリンの四エチル鉛などで内部の空気が汚染され、搭乗員がガス中毒を起こす危険があることが分かっていたが、これらに対して根本的な対策はとられなかった 。
潜水艦は潜れば潜るほど爆雷に対して強くなるが、回天の耐圧深度は最大でも80メートルであったため、回天の母艦となる伊号潜水艦はそれ以上は深く潜行する場合は回天を破損する覚悟が必要であり、敵に発見された場合も水中機動に重大な制約を受けた。そのためアメリカ側の対潜戦術、兵器の発達とあいまって出撃した潜水艦16隻(のべ32回)のうち8隻が撃沈されている。戦争最末期に本土決戦が想定された際は、回天も水上艦を母艦とすることが計画され、海上挺進部隊の球磨型軽巡洋艦3番艦「北上」をはじめとして松型駆逐艦(竹等)や一等輸送艦が改造された。

引用元:回天 – Wikipedia

生きる意味や死ぬことのついての意味を投げかける物語

この漫画では史実の人物が渡辺と様々な会話を行い、生きる意味や死ぬことの意味などを本音のまま語り合います。

特に仁科関夫は渡辺に対して影響を与えた上官として描かれ、物語の重要な人物として登場し、二人の会話のやり取りが読者に対して「生きる」ことついて疑問を投げかけています。

「仁科関夫」中尉

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引用元:https://www.yokaren-heiwa.jp/

*仁科は回天の創案者の一人として出撃直前まで熱心に「回天」の研究・改良に務め、1944年11月8日に、仁科はウルシー環礁へ向けて出発して11月20日午前3時50分に発進し、午前5時過ぎに米輸送艦「ミシシネワ」へ特攻・戦死しています。21歳没。

また、渡辺の視点で生きる意味や死ぬことのついての意味を悩む姿が描かれており、佐藤秀峰の画力で表現された特攻を志願した若者が死にゆく姿と心の葛藤や思い等を力強く迫力の描写で表現されています。

最後に

この漫画は現在の日本人には知りえない当時の状況と、戦時下における特攻の志願兵の苦悩がリアルに描かれており、戦争の悲惨さや国のために戦った人々の気持を感じさせ、非常に考えさせられる漫画です。

72年前に国の為に戦い命を落としていった方がどういった思いであったのか、心の葛藤や苦悩するシーンは心を打たれます。

日本のために戦い散って行った若者達がいたと思うと、今をもっと懸命に生きなければいけないと神妙な思いになりました。

日本の歴史を知る上でも生きる意味を知る意味でも大変ためになる漫画です。

是非一度お読みください。

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