漫画のまとめ記事

おすすめの面白い戦争・ミリタリー漫画 23作品!!戦場や戦闘を体感できる戦場マンガをまとめて紹介!【2024年版】

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■23作品を掲載!(2023年7月6日更新)

世の中には様々な漫画がありますが、その中でも戦争をテーマにしたものや軍隊をテーマにした作品が数多くあります。

戦争や軍隊がテーマであるため、明るい話は少ないですが非常に考えさせられる内容の漫画や、史実をテーマにした漫画、架空戦記をテーマにした漫画など様々な題材で出版されています。

本日は戦争・ミリタリーをテーマにした漫画作品の中で、ユレオが面白かったと思った漫画をご紹介をしたいと思います。

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はじめに

当ブログでは漫画作品への感想を以下のようなレーダーチャートで表現しております。

レーダーチャートについての説明

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あくまで個人的な視点での感想ですが、ご参考にいただければと思います。10段階評価の平均を5としております。

レーダーチャートは2種類あり、共通の漫画レーダーチャートと戦争・ミリタリー漫画ジャンルのレーダーチャートと分けております。

単純に漫画の感想を知るには「共通漫画レーダーチャート」をご参考ください。

おすすめ漫画ランキング291作!感想/レビュー付きで絶対面白いマンガが見つかる【2024年版】 ■291作品を掲載!(2023年11月18日更新) 当ブログではこれまで様々な漫画の感想を書いてきましたが、その際にジャン...

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厳選!戦場を体感できる戦争・ミリタリー漫画(全23作品)

売国機関 /原作.カルロ・ゼン 漫画.品佳直

タイトル:売国機関
作者  :原作.カルロ・ゼン 漫画.品佳直
連載期間:2018年~
巻数  :既刊7巻(2022年8月)

架空の世界を舞台とした物語で、西の「クライス連邦」と東の「ガルダリケ王国」の二つの大国に挟まれた共和国の特務機関が、祖国の為に尽力する姿を描くミリタリー漫画です。
大国に挟まれた緩衝国家「チュファルテク合同共和国」は西側の「クライス連邦」寄りの外交政策を進めた結果、東側の「ガルダリケ王国」が介入することになり、連邦と王国との戦争に発展して巻き込まれ、国土は多大な被害を受けます。
連邦と王国の戦争が終結した後も、共和国では両大国の影響を強く受けており、それぞれの陣営で利益を得る人々や、共和国の完全なる独立を目指す人々の動き等、政治的に不安定な状況下にありました。
主人公で貴族出身のヨランダ・ロフスキは強い発言力と独立した裁量権を持つ高級将校として「軍務省法務局公衆衛生課独立大隊」を率いていました。
この軍務省法務局公衆衛生課独立大隊は人々から憎しみを込めて「売国機関」と呼ばれ、
排外主義者の残党を取り締まっており、ロフスキ少佐は祖国の平和のためと信念を持って軍務にあたっていました。
ロフスキ少佐はかねてより軍の上層部に排外主義者のモグラ(スパイ)がいるとにらみ、安保条約の調印式は議会で開催されるという欺瞞情報を流して、情報部と協力しながらモグラを洗い出し、粛清に向けて動き出します。

この漫画登場する緩衝国家「チュファルテク合同共和国」は東欧のポーランドをモデルとしており、西の「クライス連邦」はヨーロッパ諸国、東の「ガルダリケ王国」をソビエトと見立てた構成となっています。
双方の大国に挟まれた政治的な不安定な状況の中で、国家の統治に障害となる組織をあぶりだして粛清していく様は、漫画作品としては珍しく「政治」「軍属」といった重いテーマに取り組んでいる意欲作品と言えます。
大国に挟まれたことでの共和国の不安定な政治情勢と、祖国の平和の為に「何が正義なのか」を問う内容となっており、物語は国家のあり方を問う複雑な展開をみせます。
漫画が原作の作品で、読み始めは国家間や組織の位置付けが分かりづらいところがありますが、読み進めることで背景が明確になり、面白さがどんどん広がる不思議な魅力があります。
軍隊という特殊な組織の中で独立した特務機関が暗躍する物語となっており、ミリタリー漫画でありながらスパイ漫画ともいえる内容でじっくりと読むにはおすすめの漫画作品です。

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リオンクール戦記 / 原作.小倉ひろあき 漫画. Nagy

タイトル:リオンクール戦記
作者  :原作.小倉ひろあき 漫画. Nagy
連載期間:2020年~2023年
巻数  :全6巻

日本人で平凡な人生を送ってきた41歳のサラリーマンが病死して、中世ヨーロッパ風の異世界で王国建国の祖となる英雄として数奇な人生を描いた壮大な「異世界転生×ファンタジー×戦記」漫画です。
主人公の田中正(たなか だだし)日本に暮らし妻と二人の子供を持つ平凡なサラリーマンとして人生を歩んでいましたが、胃がんのため家族に看取られながら41歳の若さで命を落とします。
死後延々と暗闇に落ちていく感覚を経て気が付くと、”リオンクール”と呼ばれる見知らぬ土地で7歳児の貴族の次男として転生しており、バリアン・ド・リオンクールとして新たな生を受けることになりました。
バリアンの住むリオンクールは文化レベルが低く、貴族という高い身分ではあるが、決して裕福ではなく、藁のベッドに手づかみで食事をする文化レベルであるため、ちょっとした病気一つで命を落とす過酷な環境でした。
また周辺の国々とは争いが続く戦乱の時代の真っただ中で、政治的にも不安定な土地で暮らしていくことになります。
バリアンは日本人として生きてきた記憶を持つことから天才児として扱われ、争いが絶えない過酷な土地で、死んで元々という覚悟から生きられなくその日まで精一杯第二の人生を送ることを誓います。

この漫画は原作者である小倉ひろあきが「小説家になろう」で連載していたタイトルが、第六回ネット小説大賞を受賞したことで注目集め、『リオンクール戦記』としてタイトルが変更されたて出版された作品です。
異世界転生を物語のきっかけとして構成していますが、世界観はファンタジー要素は薄く、硬派な戦記物の様相を見せています。
良くある異世界転生ものの作品とは異なり「万能でご都合種の主人公のチート能力」というものが無く、主人公が7歳児として転生後に過酷で厳しい環境で成長していく様を丁寧に描いており、日本とはかけ離れたリオンクールと土地の文化や習慣がしっかりと描いていることから、今風の異世界転生漫画に比べて内容も深く読み応えがあります。
主人公は厳しいリオンクールの土地で生き残るために獣を狩る方法を学び、そして戦乱の時代を生き残るために奴隷や罪人を練習台に人を殺すための訓練を行います。、
やがて隣国の土地から牧童を殺し、家畜を奪って森に火を放つといった、生き残り死なないための過酷な経験を幼少時代から積み上げていく様は、昨今の異世界転生ものの作品からは一線を引く硬派な物語構成となっています。
残虐な描写がある作品で読者を選ぶかもしれませんが、「正義」とはその時代や文化の情勢で様変わりする深い政治的な様相も垣間見れて、今後の物語展開が大変楽しみな作品です。

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小説版はこちらです。

明日の敵と今日の握手を /原作.カルロ・ゼン 漫画.フクダイクミ

タイトル:明日の敵と今日の握手を
作者  :原作.カルロ・ゼン 漫画.フクダイクミ
連載期間:2022年~
巻数  :既刊2巻(2022年12月)

20世紀初頭を彷彿させる架空の世界を舞台とした物語で、駐在武官が国家の趨勢を懸けて外交業務を行う、難しい内容を分かりやすく、そして面白く物語にしている「歴史×ファンタジー×戦記」の漫画です。
世界は混沌とした戦況下にあり、4つの国の同盟である『皇帝同盟』と2つの国の同盟である『協商』が対立していました。
極東にある「ドラゴンフライ皇国」は世界が2つの勢力に分かれて争う中で、中立を保っていましたが、世界に覇を唱える『皇帝同盟』と結ぶべきだという主張の『艦隊派』と、世界の現状維持を望む『協商』との友好関係を続けるべきとする『条約派』の2つに分かれて内部対立を深めており、派閥同士互いに腹の探り合いを行っています。
主人公のハイラド・ウィルストーンは貴族でありドラゴンフライ皇国の海軍中将で、『条約派』に属していました。
ドラゴンフライ皇国内では次第に『艦隊派』の勢力が強まり、『皇帝同盟』へ属するべきという声が高まる中、『皇帝同盟』と『協商』の間で大規模な会戦が起きたことで状況が大きく変わります。
ウィルストーン中尉は関係が悪化しつつある『協商』国家に駐在武官として乗り込み、国家の威信と趨勢を懸けた駐在武官として戦いが始まります

この漫画は20世紀初頭にヨーロッパで火ぶたを切られた第一次世界大戦をオマージュした内容で、ドイツ・オーストラリア・イタリアの『三国同盟』と、イギリス・フランス・ロシアの『三国協商』で、日本がどちらの勢力に就くのかという状況を、架空の国に置き換えた構成となっています。
物語の主なテーマは「戦記」モノではなく、「外交」となっており、漫画のジャンルとしてはかなり珍しいテーマを題材としていると言えます。
物語の柱となる部分が「軍隊」であり、海軍と陸軍の対立関係や軍閥など、旧日本軍の様相を描いていることから、そういった歴史を知らない読者は置いてきぼりを喰らいます。
舞台は20世紀初頭を彷彿させる文化レベルであるものの、未知のテクノロジーが登場することから、「ファンタジー」に部類する内容となっており、一定の歴史認識が無いと、理解が難しい作品と言えます。
読者を選ぶ漫画とも言えますが、外交とはどういったモノであるのかや、諜報活動がどのように行われるかなど、他の作品では読むことが出来ないことから「学習漫画」としても価値があるので、人にお勧めできる漫画です。

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マージナル・オペレーション /原作.芝村裕吏 漫画.キムラダイスケ

タイトル:マージナル・オペレーション
作者  :原作.芝村裕吏 漫画.キムラダイスケ
連載期間:2013年~2021年
巻数  :全16巻

主人公の新田良太(アラタ)はゲーム好きでオタク趣味の元引きこもりで、7年のニート生活から抜け出してデザイン会社に勤めていましたが、ある日会社が倒産します。
家賃の支払いなど金銭的な問題もあった為、ネットで見つけた民間軍事会社「自由戦士社」の募集に条件に惹かれ応募するこにしました。
「自由戦士社」の業務内容は「直接的軍事行動またはその支援、命の危険有り」というもので2年働けば国内の警備会社で雇ってもらえる好条件もあり就職を決めます。
研修は海外で行われ、パソコンの前に座りコンピューターゲームの感覚で1日10時間シミュレーションゲームをひたすらを行うものでした。
しかし、これはただのゲームではなく、実際の兵士がアラタの指示で作戦行動し、民間人を攻撃していたことに気が付きます。

このマンガは芝村裕吏の小説が原作でキムラダイスケがマンガを担当しています。
民間軍事会社という日本になじみのない会社に就職した元引きこもりでゲーム好きのアラタが軍隊をオペレートする仕事に就くお話です。
自分が行った指揮により戦闘が行われ、人が死ぬということを経験したことで、アラタはそのことで悩み苦しみますが、自分が行った戦争を見極めるために立ち直ります。
それを機に人の命が関わってることを自覚して作戦指揮を行うようになり、持ち前の記憶力とシミュレーションゲームで培った高い適性のオペレーションを行うことで、被害を抑えて指揮官としての才能を開花します。

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こちらは小説版です。

東独にいた  /宮下暁

タイトル:東独にいた
作者  :宮下暁
連載期間:2019年~
巻数  :既刊5巻(2022年4月)

1985年の東西冷戦時代の東ドイツを舞台とした物語で、一人の女性軍人が祖国の為に尽力する姿と、社会主義陣営が支配する国の生活や文化を知ることが「歴史×ミリタリー」漫画です。
主人公で女性軍人のアナベル・フォードールは、東ドイツの特殊部隊に所属する軍人で、祖国の秩序を守り、平和のためだと信念を持って軍務にあたる模範的な軍人で、反政府組織「フライハイト」と、その組織の指導者で「フレンダー」と呼ばれる人物を追っています。
軍人として過酷な軍務をこなす生活の中で、アナベルは小さな本屋を営む日系人の青年ユキロウ・フジサキに好意を抱いており、軍務の帰りであってもユキロウに会う為に、軍服からわざわざOLのような服装に着替えて、足蹴く通っていました。
しかし、ユキロウは本屋を営む姿は仮の姿で、反政府組織「フライハイト」を率いる指導者である「フレンダー」の裏の顔があり、アナベルを反政府組織に引き入れる為に接触していました。
そんな中、反政府組織「フライハイト」の爆破テロの標的となった軍の建物でアナベルの育ての親が死亡したことで、アナベルはユキロウの正体が「フレンダー」であることに気付きます。

この漫画は1985年の米ソ冷戦時代の中で東西に分断された東ドイツを舞台にしており、社会主義国家の特殊な経済と、第二次世界大戦時のナチスドイツにも劣らない秘密警察による国民監視など、時代背景をしっかりと反映した物語となっています。
当時の東ドイツは秘密警察による徹底した監視と統制が行われ、東ドイツ国民は自国「監獄」と表現するほどの徹底ぶりで、資本主義国である西ドイツと貧富の差が生まれていたことから、ベルリンの壁が出来た後も東ドイツから西ドイツに亡命する人々が後を立ちませんでした。
そして、東ドイツでも民主化運動の波が押し寄せ、さらなる監視の強化が行われたことから、反政府組織の活動が活発になります。
この物語の登場人物は架空であり、史実ではありませんが、東西冷戦時代という実在の歴史背景の中で物語が進むストーリーは非常に引き込まれる内容となっており、社会主義国の国民の生活ぶりを知ることができる貴重な漫画と言えます。

めしあげ!! ~明治陸軍糧食物語~ /清澄炯一

タイトル:めしあげ!! ~明治陸軍糧食物語~
作者  :清澄炯一
連載期間:2017年~
巻数  :既刊5巻(2020年3月現在)

1903年の明治時代の日本陸軍をテーマにしたミリタリー漫画ですが、戦争というテーマもさることながら、軍隊における食料事情をテーマにした「ミリタリー飯」漫画です。
主人公の千歳は貧困にあえぎ苦しみ、生きるために盗人を繰り返す生活を送っていました。
ある日千歳は陸軍が作り損なって廃棄する予定のカレーライスを食べて、こんな美味いものがあるのかと驚き、一日三食が支給される軍隊の存在を知り「飯を喰うため」に陸軍へ志願します。
軍隊では食べることに困らず、千歳は厳しい訓練の中でも軍隊生活を満喫しますが、やがて日露戦争がはじまり、順次動員令が出されて千歳も大陸へ出征することになりました。

この漫画は軍隊での食事をテーマにしたいわゆる「ミリメシ」漫画で、当時の資料をかなり調べて描かれており、1900年代初期の食糧事情を垣間見ることのできる貴重な漫画です。
ちょうどこのころは軍隊では洋食が取り入れ始めた時期であり、カレーライス等の当時の日本では珍しいメニューが広まり始めます。
そうした明治の文化もしっかりと描かれながら、日露戦争で大激戦であった南山戦などが描かれ、戦場の悲惨さもしっかりと語られる本格的な歴史戦場マンガでもあります。
近代化が始まった日本陸軍の内情と当時の食料事情を知ることのできる大変面白いマンガです。

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機動戦士ガンダム サンダーボルト /太田垣康男

タイトル:機動戦士ガンダム サンダーボルト
作者  :太田垣康男
連載期間:2018年~
巻数  :既刊19巻(2022年2月現在)

SFアニメとして有名な「ガンダムシリーズ」を題材としたの内容で、SF漫画家の太田垣康男が描くガンダムの世界観とMS(モビルスーツ)の戦闘が魅力のSF戦場漫画です。
地球連邦軍側の主人公であるイオ・フレミングは旧サイド4「ムーア」の再興を悲願とする一団「ムーア同胞団」に所属し、「サンダーボルト宙域」の制宙権を奪還すべく幾度も戦闘を行っていますが、ジオン公国のスナイパーMS部隊「リビング・デッド師団」により、ことごとく退けられていました。
ジオン公国軍の主人公であるダリル・ローレンツは優秀なスナイパーとしてサンダーボルト宙域で輝かしい戦果を挙げ、ダリルの活躍により戦場は硬直していましたが、ムーア同胞団に最新鋭機のフルアーマー・ガンダムが配備されたことで戦況が大きく動きます。
リビング・デッド師団は、フルアーマー・ガンダムに対抗すべく実験機MSの「サイコ・ザク」実践配備し、ムーア同胞団とリビング・デッド師団によるサンダーボルト宙域での決戦が始まります。

この漫画はガンダムで最も人気のあるストーリー「一年戦争」を舞台にした内容で、宇宙世紀0079年12月という一年戦争末期のジオン公国軍の敗戦直前の設定で物語が進みます。
攻勢をかける地球連邦軍でしたが、サンダーボルト宙域の制宙権を奪還することが出来ず、最新鋭機のフルアーマー・ガンダムを投入することになります。
ムーア同胞団はガンダムの活躍により補給がままならないジオン公国軍のスナイパーMS部隊「リビング・デッド師団」を圧倒しますが、実験機MSの「サイコ・ザク」の活躍により、フルアーマー・ガンダムを撃墜して鹵獲する戦果を納めます。
この作品は多くのガンダムシリーズの作品とは異なり、ガンダムの所属する地球連邦側軍に偏った視点ではなく、ジオン公国軍と地球連邦軍と公平な視点で描かれているのが特徴です。
また、これまでのMSのデザインから大幅にアレンジされているのも特徴的で、メカデザインの解釈が非常に面白く合理的で、新しいガンダムの世界観を開拓した作品と言えます。

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2015年にOVA化しました。

沈黙の艦隊 /かわぐちかいじ

タイトル:沈黙の艦隊
作者  :かわぐちかいじ
連載期間:1988年~1996年
巻数  :全32巻

海上自衛隊の潜水艦「やまなみ」が千葉県犬吠埼沖でソ連の原子力潜水艦と衝突し沈没するという事故が起き、「やまなみ」の艦長で主人公の海江田四郎と乗員76名の生存が絶望的というニュースが流れます。
しかし、この事故は日米共謀で行われた偽装工作で、極秘に建造された日本初の原子力潜水艦「シーバット」の乗員として任務に付かせるためのものでした。
「シーバット」は海江田の指揮のもと試験航海を行いますが、その途中で米海軍の監視から姿をくらまし逃亡します。
「シーバット」には核弾頭搭載の対艦ミサイルと魚雷が備わっており、ソ連原潜のタイフーン級と互角に戦える戦力を持ちます。
その後海江田は原子力潜水艦「シーバット」を「やまと」と名乗り、76名の乗員を国民とした戦闘国家「やまと」として独立宣言をします。

このマンガは潜水艦戦を描いた戦記物であることや連載当時にソ連崩壊が起きるなど、冷戦終結や国際政治情勢が劇的に変化した時期であり、物語の設定にも影響を及ぼして連載当時非常に注目されたマンガです。
潜水艦という兵器がどういったものなのか、どのような戦いをするのかといった内容も知ることができ、また政治的な日本とアメリカの立場の違いや力関係等を知る政治色の強い物語展開となります。
海江田は軍事のみならず政治や国際情勢についても深く理解し、自分の理想を貫く為に原子力潜水艦を独立国「やまと」として宣言し国家組織に対して対等の立場をとります。

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この漫画は1996年にアニメ化しています。

アルキメデスの大戦 /三田紀房

タイトル:アルキメデスの大戦
作者  :三田紀房
連載期間:2015年~
巻数  :既刊31巻(2022年7月現在)

昭和8年、日本は欧米諸国との対立が深まり戦争の機運が高まり、海軍の軍事力の強化の為、新型戦艦の建造計画が始まります。
大きな主砲を持つ巨大戦艦の建造計画を推進したい平山忠道の派閥と、航空機戦力が将来戦場の主力となることを予想し、対航空機戦闘を考えた高速で機動力のある戦艦計画を進める山本五十六の派閥との建造計画の争いが起きます。
平山は不当に安い見積もりで建造計画を進めようとしますが、山本はそれが”不当である”ことを証明できずにいました。
山本はこの巨大戦艦の予算が”不当に安い”ことを証明して平山の建造計画を阻止しようと考え、東京帝国大学の学生で数学の天才と注目されていた櫂 直(かい ただし)を主計少佐に任命し、海軍省経理局特別会計監査課の課長として招き入れます。

この漫画は数学的な視点がとにかく面白く、船舶の製造費を「大きさ」「規模」「建造期間」「鋼材費」等の様々な視点から、実際に必要とする建造費を洗いだそうとする話の流れは、数学好きやエンジニアにはたまらない展開です。
普段数字を数量を示す記号として扱うと現実感がありませんが、この漫画では数字と物理的な質量の関係や、「設計図」や「仕様書」が建造費用にどう関係するのか等が描かれており、算出方法の方程式を導きだす為の物語展開が非常に面白いです。
また、実在の人物や史実が含まれているので歴史が好きな人や、第二次世界大戦や旧日本軍が好きな軍事マニアも喜ぶ詳細な描写が所せましにあります。
戦争がテーマのマンガで常に争いの渦中にいるわけですが、戦地が戦場ではない面白い切り口のマンガです。

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映画版はこちらです。

我が驍勇にふるえよ天地 ―アレクシス帝国興隆記― /原作. あわむら赤光 漫画. 佐藤勇

タイトル:我が驍勇にふるえよ天地 ―アレクシス帝国興隆記―
作者  :原作. あわむら赤光 漫画. 佐藤勇
連載期間:2019年~2021年
巻数  :全7巻

異世界を舞台としているファンタジー作品ですが、異世界物としてよくある「異世界転生/異世界召喚」「魔法」「モンスター」といったものは登場せず、純粋な魔法なしの武勇と軍略のハイファンタジー戦記作品です。
主人公のレオナートはクロード帝国の第八皇子として生まれますが、幼少の頃から権力闘争に巻き込まれ、母との死別をきっかけに帝国皇子としての権威を失い、地方の領地であるアレクシス州にて伯母上に育てられます。
第二の故郷であるアレクシスに安住の地を得たレオナートは、努力を重ねて人として皇子として成長します。
しかし、アレクシスが異国からの侵略を受けた事で帝国に救援を求めるも、味方であるはずのクローズ帝国の貴族からの裏切りに遭い、第二の故郷であるアレクシスを異国に奪われることになりました。
レオナートはクローズ帝都に落ちのびるも、”吸血皇子”の汚名をも着せられ、悲しみとともに失墜しますが、アレクシスで共に闘った戦友と共に再起を誓い、アレクシス州の奪還と腐敗したクロード帝国を立て直す為に立ち上がります。

この漫画はファンタジー世界を舞台とする「戦記物」で、昨今の「異世界転生/異世界召喚」作品がブームになっている中では硬派な作品と言えます。
世界観はフルメイルの騎士やパイク兵などが登場する中世ヨーロッパ調ですが、様々な時代の要素が混ざったており、残念ながら文化レベルが統一されていないように見受けられます。
戦場がメインの硬派な世界観ですが、今時の読者層に合わせる為なのか、ギャグを挟むなどの時折シリアスな世界観が破綻する演出がある為、「硬派な戦記物」を求めている読者層には興醒めする展開が散見されます。
その為、正直に申して「惜しい作品」と言えます。
リアリティについても、少々突拍子もない展開や戦闘シーンがあるものの、基本的には残酷なシーンまでしっかり描きこむリアリティを追求する姿勢で描かれており、好感が持てます。
作品路線が時折ぶれるが、次のストーリー展開が気になる作品で、全7巻と完結しており、物語を上手く畳んではいるものの、所々「惜しい」と思わせる部分が散見されることから、読者層により高評価と低評価と評価が大きく分かれる漫画と言えます。

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小説版はこちらです。

戦奏教室 /原作.空もずく 漫画.十森ひごろ

タイトル:戦奏教室
作者  :原作.空もずく 漫画.十森ひごろ
連載期間:2022年~
巻数  :既刊4巻

中世ヨーロッパ調の世界観を舞台とした作品で、戦場で兵士に号令を送るラッパ手を務める少年が特別な力を手にし、その力の源である「塔」の守護者として、塔を巡る争いに巻き込まれる軍記ファンタジー漫画です。
主人公の少年・リュカは生まれつき頭に”枝”が生えており、親に捨てられ、傭兵団の団長に拾われたことで、傭兵団の一員として戦場で育ち、少年兵としてラッパ手を勤めています。
ラッパ手とは指揮官からの号令を各兵士に伝える役目を持っており、正規軍の元、団長の用兵術をリュカがラッパで各兵士に伝えることで、傭兵団は戦果を挙げていました。
しかし、リュカは傭兵団に属しながらも戦場や戦争自体を嫌っており、いつかは傭兵団を抜けて楽師になる事を夢見ています。
リュカの生まれつき頭から生えた枝は“枝憑き”と呼ばれる超常の力を持つ証で、14歳になると枝が発芽して力に目覚めることから、領主である教皇から配下に加わるように促され、傭兵団を抜けて、教皇領と“枝憑き”の力の源である「塔」の守護者として、塔を巡る争いに巻き込まれることになります。

この漫画のジャンルは「ファンタジー」になりますが、世界観が中世ヨーロッパの百年戦争とよばれるイングランド王とフランス王の戦いがモチーフになっていることから、戦記モノとしての色が濃い作品となっています。
ラッパ手が活躍する弓兵、歩兵、騎兵といった兵士同士が戦う戦場で、戦場の描写や兵科の特徴などがしっかりと描かれていることから、軍記・戦記モノが好きな方にとっても、読み応えがある作品となっています。
ファンタジー作品であるものの「魔法」が表立って登場せず、代わりに“枝憑き”と呼ばれる超常の力が多数登場し、戦場でぶつかり合うことになります。
物語の中心人物である教皇や、“枝憑き”の力の源である「塔」の謎など、ミステリー要素も多く、今後の展開が楽しみな作品となっています。

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砂ぼうず /うすね正俊

タイトル:砂ぼうず
作者  :うすね正俊
連載期間:1997年~2020年
巻数  :全22巻

数百年後の地球を舞台としており、文明が崩壊して終末を迎え、砂漠化が進み砂の海に沈んだ関東平野で便利屋という名の傭兵業を営む主人公が活躍するSFミリタリー漫画です。
主人公の水野灌太は凄腕の若手便利屋として生計を立てており、”砂漠スーツ”と呼ばれる特殊なスーツを身にまとい、日中の極度の乾燥と夜間の極寒を繰り返す過酷な砂漠環境の中、血なまぐさい依頼も含む様々な仕事を請け負っています。
旧文明の遺産を運用する城塞都市「オアシス」が支配する階級社会の中、人々は争いを続けており、オアシスの管理外では無政府状態とも言える秩序の無い状態が続いています。
そんな弱肉強食の世界で灌太は「砂ぼうず」と呼ばれ、金と名誉のためなら何でする強かさで関東大砂漠の世界で一人生き抜きます。

この漫画は人類が文明の絶頂期を迎えた後に崩壊した地球が舞台となっており、旧文明は全て砂漠の砂に埋れてしまっており、人々は旧文明の遺跡から発掘されたテクノロジーを使って生き延びています。
「オアシス」と呼ばれる政府組織の存在はありますが、国家としての規模ではなく、人々は毎日を生き抜くために弱肉強食とも言える厳しい世界でたくましく生き抜いています。
この漫画は銃器や兵器等の描写には強いこだわりを感じられる作品で、ミリタリーマニアの方から見ると興味深い内容が多く、戦闘シーンは大変迫力があります。
連載は現在も続いており、結末がどうなるのか気になる漫画です。

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この漫画は2004年にアニメ化しています。

ヨルムンガンド /高橋慶太郎

タイトル:ヨルムンガンド
作者  :高橋慶太郎
連載期間:2006年~2012年
巻数  :全11巻

世界中のあらゆる組織に武器を売る武器商人の女性と両親を殺した兵器を恨みながらも私設軍隊の兵士として任務をこなす少年兵が主人公のミリタリー×ガンアクション漫画です。
主人公の一人である武器商人ココ・ヘクマティアルは親族が経営するHCLI社のヨーロッパ・アフリカ兵器運搬部門の一翼を担う人物で、世界各国を旅をしながら武器を売りさばき、仕事柄トラブルが多いことから護衛として私設軍隊を率いています。
もう一人の主人公である少年兵のヨナは過去に兵器で両親を殺されたことから、武器やそれに携わる人物を憎みつつも、武器に頼らなければ生きていけなかった境遇にジレンマを抱えつつもココの私設軍隊に加わります。
ココは様々な組織から恨みを買いながらも敵対する組織を私設軍隊で排除して武器商人としての兵器を売ることを続けます。
ココにはある目的があり、本人曰く武器を売る理由は「世界平和のため」であり、やがて壮大な計画が明らかになります。

この漫画は武器商人が率いる私設軍隊のガンアクションが売りの漫画でアクションシーンがカッコよくて大変迫力があり、また武器や兵器について描写が細かく、世界の軍事バランスがどうなっているのかといった、普段知ることのない様々な知識が学べます。
漫画の連載にあたっては軍事考証や設定考証等について、その道の様々なプロが情報協力として参加しており、普段知ることがない武器や兵器の世界を垣間見ることができて、ミリタリーをテーマにした作品が好きな方にはたまらない描写が目白押しとなっています。
この漫画は2006年から2012年に連載された作品で、連載当初から武器や兵器の描写と軍事考証が凄い漫画として話題になり、2012年にはアニメ化するなど人気のある作品で、ミリタリーものが好きな方には絶対おすすめのなのでぜひ読んでみてください。

【まとめ買い】ヨルムンガンド [Kindle版]

アニメ版はこちらです。

軍靴のバルツァー /中島三千恒

タイトル:軍靴のバルツァー
作者  :中島三千恒
連載期間:2011年~
巻数  :既刊15巻(2023年2月現在)

架空の軍事国家「ヴァイセン王国」と、その同盟国の「バーゼルラント邦国」を舞台とした歴史ミリタリー漫画です。
主人公のベルント・バルツァーは戦役における戦功等により順風満帆な出世コースに乗っていましたが、唐突に同盟国バーゼルラント邦国王立士官学校へ軍事顧問としての出向を命じられます。
バルツァーは命令に従い軍事後進国であるバーゼルラントに出向したのですが、バーゼルラントでは予想以上に旧式の装備で時代遅れな訓練を行なっていました。
バルツァーは異国の地で苦労しながら士官学校の生徒たちを鍛え上げていきますが、政治的な策略による暴動が勃発し、士官学校の生徒を指揮して暴動の鎮圧します。
この事でバーゼルラント王室の第二王子に気にいられバーゼルラント王室の宮廷闘争に巻き込まれることになります。

このマンガでの技術レベルは19世紀後半くらいで、戦車や飛行機の近代兵器はなく、騎兵、大砲、マスケット銃、気球、蒸気機関車といった兵器が登場し非常にリアルに描かれています。
マンガは戦闘の物語がメインではなく、主な描写は士官学校へ軍事顧問としての仕事ぶりが描かれ、訓練を行うシーンが非常に細かく描かれており、兵器の運用方法や兵器の特性が分かりやすく説明されています。
この頃の兵器は進歩と革新が著しく、旧世代の兵器や戦術から脱却する過渡期でもあり近代兵器や近代戦闘の有用性やしっかり語られ、歴史漫画としても大変読み応えがある漫画です。

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濁る瞳で何を願う ハイセルク戦記 /原作.トルトネン 漫画.斎藤八呑

タイトル:濁る瞳で何を願う ハイセルク戦記
作者  :原作.トルトネン 漫画.斎藤八呑
連載期間:2022年~
巻数  :既刊1巻(2022年11月)

サラリーマンとして平凡な人生を過ごしていた主人公が、死後に異世界に転生して、大きな志や希望を持たず、ただ日々食いつなぐために一兵卒として戦場を駆け巡る「戦記物×異世界転生×ダークファンタジー」漫画です。
主人公の高倉頼蔵(たかくららいぞう)は、サラリーマンとして平凡な人生を送っていましたが、ある朝出勤中に心筋梗塞によってその人生をあっけなく閉じます。
しかし、前世の記憶を持ったまま異世界で農家の三男として生を受け、”ウォルム”として第二の人生を歩み始めました。
ウォルムの住む「ハイセルク帝国」は常に隣国と戦争を行っていることから、国は荒れており、ウォルムの家庭は貧しく農業だけでは食べていけ無い状況でした。
その為、ウォルムは兵士となり軍から渡される支度金を家に入れる必要があり、家族の為、ハイセルク帝国の一兵卒として大きな志も希望もなく、ただ日々を食いつなぐために殺戮を生業とします。
日々続く殺伐とした戦場で人の命が塵芥よりも軽く扱われ、敵に殺されない為に殺すことが当たり前となっており、死線を潜り抜ける中でウォルムは徐々に兵士として成長し、強さを手に入れますが、代わりにウォルムの瞳は暗く、深く濁っていくことになります。

この漫画は小説が原作のコミカライズ作品で、小説投稿サイトである「小説家になろう」発の人気小説が元となっています。
世の多くの「異世界転生モノ」の作品は、異世界に転生することで特別な力を手に入れたり、現世での記憶を基として異世界に新たな文化を広めるといった形のご都合主義的なストーリーが大勢を占めています。
しかし、この作品ではそういったご都合主義的な展開が無く、主人公は平和な日本で過ごした前世の記憶とのギャップを常に感じつつ、戦場で「生き残るために人を殺す」という日々を繰り返す一人の兵士としての視点で描かれており、昨今の異世界転生モノの中では珍しく硬派な作風となっています。
戦場での戦いや描写が生々しく、戦記物として読み応えが十分で、異世界ファンタジー作品としては「剣と魔法」もしっかりと描かれていることや、この作品ならではの「魔力」の解釈といった内容も面白く注目すべき点と言えます。
重厚感のあるストーリーは三浦健太郎の代表作「ベルセルク」を彷彿させ、コミカライズ版は原作の小説よりも読みやすくするためなのか細部の描写を割愛しているため、漫画から小説に入っても十分楽しめる作品です。

小説版はこちらです。

ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり /原作.柳内たくみ 漫画.竿尾悟

タイトル:ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり
作者  :原作.柳内たくみ 漫画.竿尾悟
連載期間:2011年~
巻数  :既刊21巻(2022年8月)

ある日突然日本の銀座に異世界からの門(ゲート)が開き、異世界の軍隊が日本に攻め込むのですが、自衛隊が応戦して活躍するミリタリー漫画です。
主人公で自衛官の伊丹耀司は銀座に門(ゲート)が開き異世界の軍勢が進軍してきた際に偶然居合わせ、混乱する現場で指揮を執り、民間人の被害を最小限にとどめます。
その後自衛隊と警察の組織だった応戦により異世界の軍勢の進軍を食い止め、門(ゲート)まで押し返すのですが、門(ゲート)の向こうに広大な土地と資源が存在する可能性を知った日本政府は、自衛隊を異世界側に派遣して異世界側の門(ゲート)を占領して大規模な陣を築きあげます。
異世界の軍勢は門(ゲート)の奪回のため進軍してきますが、近代兵器がそろった自衛隊の一方的な戦闘により組織だった抵抗勢力を壊滅させることになります。
伊丹は銀座事件での功績で二等陸尉に昇進して第3偵察隊の隊長に任ぜられ、異世界の調査に乗り出します。

この漫画は異世界から門(ゲート)を通して攻め込まれた日本が、逆に門(ゲート)を使って異世界に自衛隊を派遣し、異世界側の一部を占領して陣を築き、異世界との政治的な関りや異世界との文化交流を行う、ミリタリー色の強い異世界マンガです。
異世界は古代ヨーロッパを彷彿させる文化レベルで、日本は不意を突かれたことにより、当初は銀座から二条橋まで攻め込まれますが、その後自衛隊の活躍により、異世界側の門(ゲート)を占領し、そこを拠点として異世界への足掛かりを築きます。
自衛隊がドラゴンと組織だった部隊戦闘を行うなど、ミリタリー色の強い内容となっており大変面白いマンガです。

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小説版はこちらです。

特攻の島 /佐藤秀峰

タイトル:特攻の島
作者  :佐藤秀峰
連載期間:2006年~2018
巻数  :全9巻

第二次世界大戦の大日本帝国海軍が開発した究極の兵器「回天」をテーマにした漫画です。
「回天」とは人間魚雷と呼ばれる小型の潜水艦で、大量の爆薬を搭載し船艇ごと敵艦へ特攻する兵器で出撃すれば生きて帰ることはありません。
主人公の渡辺裕三は福岡海軍航空隊でしたが「生還を期さない兵器」という特殊兵器への希望調査に志願します。
そこで渡辺は人間魚雷回天と創案者の一人仁科関夫と出合います。
回天に乗ることは死を意味し、国家の為に志願して来たはずの渡辺は「死ぬための訓練」に疑問を抱きつつ「個人」の死について意味を見つけれずにいました。
渡辺は死に意味が持てるどうかを見極め人生を自分の物にするために命を燃やすことを決心します。

このマンガは史実が元となっており、「回天」の発案を行った仁科関夫など実在の人物が登場します。
神風特攻隊について有名ですが、人間魚雷「回天」についてはあまり知られておらず、貴重な情報を含んだマンガで第二次世界大戦末期の日本の情勢をリアルに語られています。
また、渡辺の視点で生きる意味や死ぬことのついての意味を悩む姿が描かれており、佐藤秀峰の画力で表現された特攻を志願した若者が死にゆく姿と心の葛藤や思い等を力強く迫力の描写で表現されています。
このマンガは現在の日本人には知りえない当時の状況と、戦時下における特攻の志願兵の苦悩がリアルに描かれており、非常に考えさせられる漫画です。

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ジパング /かわぐちかいじ

タイトル:ジパング
作者  :かわぐちかいじ
連載期間:2000年~2009年
巻数  :全43巻

海上自衛隊の最新鋭のイージス艦「みらい」は邦人の救助の為、南米エクアドルへの派遣中に不気味な嵐に巻き込まれて僚艦を見失い交信不能になります。
その直後に「みらい」は大艦隊に囲まれ、目視で戦艦級の船舶を確認したところ、第二次世界大戦の大日本帝国海軍の象徴である戦艦「大和」でした。
艦隊に囲まれつつも速力の勝る「みらい」はその場から離脱します。
大和を含む大艦隊はミッドウェー海戦時の隊列であったことや月の満ち欠けから、最新鋭のイージス艦「みらい」と乗組員は1942年6月にタイムスリップしており、ミッドウェー海戦に巻き込まれることになります。
「みらい」は一隻で米国艦隊と互角に渡り合える存在ですが、史実に介入することを恐れ、戦闘を見守り大日本帝国海軍は大敗を喫します。
「みらい」は南米エクアドルへの任務を取りやめ横須賀へ戻る途中で墜落したゼロ戦から海軍少佐・草加拓海を助け、「みらい」の副長・角松洋介は草加拓海に未来世界の情報を公開したことから、「みらい」は歴史の流れに巻き込まれることになります。

このマンガは最新鋭のイージス艦が1942年の日米の太平洋における形成を決定づけるミッドウェー海戦の海域にタイムトラベルするというお話から始まります。
イージス艦は衛星のサポートが無いとはいえ、当時の海戦では圧倒的な戦力を誇りますが、「みらい」は自衛隊の専守防衛の理念により武器の使用が許可されずに戦死者を出してしまいます。
また、弾薬や補給もままならない為、「みらい」の本来の戦力が発揮できず、よくある架空戦記ものの圧倒的な強さという面白さはありません。
しかし、実際に最新鋭イージス艦が1942年で運用されるとこのようになるんだろうなというリアリティがあり、物語の人間ドラマも非常に読み応えがあって、日本の歴史を動かす壮大な物語を展開します。

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この漫画は2004年にアニメ化しています。

幼女戦記 /原作.カルロ・ゼン 漫画:東條チカ

タイトル:幼女戦記
作者  :原作.カルロ・ゼン 漫画:東條チカ
連載期間:2016年~
巻数  :既刊27巻(2023年4月現在)

徹底した合理主義のエリートサラリーマンが異世界の軍国主義国家で女として転生し軍人として活躍する異世界転生ミリタリーマンガです。
徹底した合理主義者で人事部に所属するエリートサラリーマンであった主人公は、帰宅中にリストラ対象の同僚の逆恨みで線路に突き落とされ殺されます。
死後の世界で創造主を名乗る存在より、主人公のリアリストな言動と無信仰を咎められ、戦乱の世界で苦労を経験して信仰を取り戻させるとして、異世界で孤児の少女「ターニャー」として転生させられます。
転生した世界は魔法技術が存在しますが、20世紀初頭のヨーロッパに似た文化レベルで、化学技術も存在する世界でした。
前世の記憶を活かして軍人としてのキャリアを積み、後方勤務で順風満帆な人生を送ろうと目論むターニャでしたが、創造主の導きなのか最前線の戦場に送られ続けて戦果を上げることになります。

この漫画は異世界転生がテーマですが、軍事ミリタリー要素が非常に強い漫画で、魔法も登場しますが、兵器運用の一端として扱われ、砲弾が飛び交い塹壕がひしめく戦場がメインの漫画です。
異世界転生マンガの中ではかなり血みどろな内容で、合理的で冷徹な主人公の思考や行動と幼女という外見のギャップが目を引く内容で、非常に面白いです。
ミリタリーマンガとしても完成度が高く、また様々な歴史的な内容や軍事知識にも触れており、雑学が身につくマンガで、熱中度や面白さは群を抜いています。

【まとめ買い】 幼女戦記 [Kindle版]

2017年にアニメ化しています。

小説版はこちらです。

皇国の守護者 /原作.佐藤大輔 漫画.伊藤悠

タイトル:皇国の守護者
作者  :原作.佐藤大輔 漫画.伊藤悠
連載期間:2004年~2007年
巻数  :全5巻

この漫画は人と龍が共存する架空世界を舞台とする戦記漫画です。
ある日、小さな島国である皇国に帝国軍艦隊が来襲し侵略が行われ皇国と帝国との戦争が勃発します。
主人公の新城直衛は陸軍独立捜索剣虎兵として配属され国土防衛の為、北領の戦場に赴きます。
「剣虎兵」とはサーベルタイガーの容姿を持つ巨大な虎を引きいる部隊で主な任務は索敵でした。
皇国軍は最初の会戦で優勢であったにも関わらず大惨敗を機した為、北領を放棄して全軍の撤退を決定します。
新城直衛は「剣虎兵」部隊の大隊長が戦死したため野戦昇進してり大隊を掌握することになり、皇国軍の北領からの撤退を成功させるための決死隊として皇国軍のしんがりを指揮することになります。

敗戦が決まった戦場で指揮官となった新城直衛の任務は兵827人と剣牙虎85頭で帝国軍40000人を10日間足止めをすることでした。
十中八九は戦死するであろう絶望的な状況で、戦場の緊張感と戦略の駆け引きが非常に細かく描かれています。
新城直衛は戦況を打開するために焦土化作戦を行ったり、撤退時に井戸に毒を入れるなど、迫りくる帝国軍に対して考えられるあらゆる方法を使って進軍を遅らせようとします。
新城直衛は任務に驚くほど忠実で戦闘時には残虐な言動を吐く一方、部下が戦死した際には身を裂く思いで悲しみと罪悪感を覚える姿が心を打ち、読んでいるこちらの胸も痛くなります。
竜や巨大な虎などが登場するファンタジーな世界観でありながら、ファンタジーを感じさせないリアルな描写が好感が持て、近年の「異世界ファンタジー物」とは一線を画す血湧き肉躍ること間違いのないファンタジー・ミリタリー漫画です。

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こちらは小説版です。

パンプキン・シザーズ /岩永亮太郎

タイトル:パンプキン・シザーズ
作者  :岩永亮太郎
連載期間:2004年~
巻数  :既刊23巻(2020年9月現在)

架空の国「帝国」が舞台の戦災復興部隊の活躍を描くミリタリー漫画です。
3年間の戦争の爪あとが深く残る帝国では社会混乱は完全には収まっておらず、難民や兵隊の夜盗化などの戦災が続いており、これらの問題を解決する戦災復興の専門部隊として陸軍情報部第3課「パンプキン・シザーズ」の設置を決めます。
主人公のアリス・L・マルヴィンは貴族出身で、戦災復興という使命に誇りを持って任務をこなし、小隊「パンプキン・シザーズ」隊長として精力的に活動を行います。
もう一人の主人公ランデル・オーランドは戦時中に任務で人を殺していた事に対して非常に強い罪悪感を抱き、退役後は悲惨な戦場にから離れて行く宛ても無く各地を放浪していたところを、戦災復興の任務についてたアリスと出会い作戦に協力したことで、軍に復帰し陸情3課の一員となります。
こうして「パンプキン・シザーズ」の隊員の一人として戦災復興の為に任務を成し遂げようと日夜奮闘します。

このマンガは戦争が終結した後の戦後復興がメインのテーマになっており、戦争が終わった後の国の混乱や戦後に続く問題というものについて取り上げています。
戦争が終わっても国がすぐに平和になるものではなく、戦争の傷が深く残ることや政治的な安定や平和というものについて考えさせられるマンガ作品です。
ランデル・オーランドは戦時中は対戦車猟兵部隊に所属して単身で敵を戦車を破壊する、殺戮兵器として任務をこなし、青い焔のランタンを灯すと殺人を行うためだけの思考回路を持つように脳改造を施されています。
ランデル・オーランドはこうしたことで罪悪感とトラウマを持ち、人として尊厳を保つために苦悩している姿がとても印象に残ります。

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この漫画は2006年にアニメ化しています。

ライジングサン /藤原さとし

タイトル:ライジングサン
作者  :藤原さとし
連載期間:2012年~
巻数  :全15巻∔既刊8巻(2022年4月現在)

陸上自衛隊の自衛官候補生をテーマにしたミリタリー漫画です。
主人公で高校3年の甲斐一気は夢や目標を持てずに煮え切らない日々を送っており、全力をぶつけられる何かを求めていました。
そうした気分を晴らすために、一気は山に登り気を紛らわせていたところ、山で訓練を行う陸上自衛官の伊達と出会い、彼の姿を見て冷めていた心に火がともり目標を見つけ自衛官を志す事を決めます。
自衛官になる為に集められた自衛官候補生は3か月の「新隊員教育隊」に配属され、そこで同年代の仲間たちと共同生活を送る中で、生い立ちや入隊目的が異なる様々な自衛官候補生たちと共に苦悩し励ましあいながら訓練を積み仲間と共に成長していきます。

このマンガは陸上自衛隊に入隊するにはどういったことをするのか、自衛官候補生が自衛官になるまでの過程を知ることが出来て、自衛官の心得や訓練内容などが非常に細かく描かれています。
自衛隊というものがどのような組織でどういった理念を持っているのかといった国防に関する考えを知ることのできる大変貴重なマンガです。
作中では主に訓練内容が描かれていますが、若者の将来に対する不安や気持ちの揺らぎ、仲間との人間関係など、様々な人間ドラマが展開されます。
同じ志を持つ仲間が人として成長し、それを互いに喜び合うという熱い展開の漫画でミリタリー漫画としても青春マンガとしてもおすすめです。

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空母いぶき /かわぐちかいじ

タイトル:空母いぶき
作者  :かわぐちかいじ
連載期間:2014年~
巻数  :既刊13巻(2020年7月現在)

尖閣諸島の離島を舞台にした日本と中国との軍事衝突を描いたミリタリー漫画です。
中国は工作員を使い遭難者に擬装して、尖閣諸島の南小島に上陸して、中国固有の領土でありることを主張します。
それに合わせて日本の領海に中国海警局の船舶が侵入し、護衛艦への威嚇射撃へ発展するなど事態がエスカレートして、日本政府は軍事衝突を避けるために中国に屈する形で工作員を引き渡します。
離島防衛および奪還作戦の可能性が現実味を帯び、事件から1年後に自衛隊初の空母である「いぶき」が完成させて第5護衛隊を組織されます。
翌年中国軍は日本への侵攻を開始して先島諸島を制圧をし、自衛隊と中国人民解放軍との武力衝突は避けられないものになります。
主人公で「いぶき」の艦長・秋津竜太は「力には力をもって思い知らせる」という信念を持ち領土奪還作戦を遂行します。

このマンガは2010年の尖閣諸島での中国漁船衝突事件の内容と酷似し、今後の日本の国土防衛に対しての意識に一石を投じる内容となっています。
中国の軍事的脅威と日本の平和憲法による自衛隊の運用や、マスコミや野党による政治的な妨害等、非常にリアルな描写となっており、日本の国土を守るためにはどうすればよいのか、どういった考えが必要なのかということを投げかけ、より現実的で具体性に富んだ物語になっています。
空母「いぶき」は実在の航空機搭載型護衛艦「いずも」がモデルとなっています。

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最後に

おすすめの戦争・ミリタリー漫画はいかがでしたでしょうか?どれも大変読み応えがあり、何度も繰り返して読みたくなる漫画ばかりです。

テーマは重めの内容ですが、どの作品もストーリーがしっかりしており、大人向けの内容です。

また次回に機会があれば戦争・ミリタリーマンガのご紹介記事を書きたいと思います。

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