ふらいんぐうぃ
■40作品を掲載!(2023年4月13日 更新)
みなさん青春時代を過ごした、もしくは現在お過ごしだと思いますが、映画やドラマのような印象に残る劇的な出来事はありましたでしょうか?
こうした青春時代を表現するコンテンツとして映画やドラマも有名ですが、漫画においても多くの作品があり、「青春漫画」としてジャンルが存在します。
恋愛や感動、情熱といった内容をテーマにして、主人公や主人公を取り巻く環境が10代後半から20代前半といったような漫画を指すわけですが本当に数が多い為、どれを読めばよいか迷います。
こうした青春漫画の中でも私が面白かったと思った漫画をご紹介をしたいと思います。
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【目次】
- はじめに
- 厳選!青春時代を振り返えられる青春が題材の漫画(全40作品)
- それでも歩は寄せてくる /山本崇一朗
- ランウェイで笑って /猪ノ谷言葉
- かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~
- あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 /超平和バスターズ
- ルリドラゴン /眞藤雅興
- スーパーカブ /原作.トネ・コーケン 漫画.蟹丹
- 冷たい校舎の時は止まる /原作.辻村深月 漫画.新川直司
- おやすみシェヘラザード /篠房六郎
- 東京卍リベンジャーズ /和久井健
- バジーノイズ /むつき潤
- 北北西に曇と往け /入江 亜季
- ハイスコアガール /押切蓮介
- 空電ノイズの姫君 /冬目景
- BECK /ハロルド作石
- ましろのおと /羅川真里茂
- じけんじゃけん! /安田剛助
- SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん /長田悠幸
- ブルーピリオド /山口つばさ
- のだめカンタービレ /二ノ宮知子
- ボールルームへようこそ /竹内友
- ふらいんぐうぃっち /石塚千尋
- 氷菓 /原作.米澤穂信 漫画.タスクオーナ
- よふかしのうた /コトヤマ
- ハルロック /西餅
- ハチミツとクローバー /羽海野チカ
- Another(アナザー) /原作.綾辻行人 漫画.清原紘
- のぼる小寺さん /珈琲
- デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション /浅野いにお
- BLUE GIANT /石塚真一
- 化物語 /原作.西尾維新 漫画.大暮維人
- かくかくしかじか /東村アキコ
- 銀の匙 Silver Spoon /荒川弘
- バクマン。 /原作.大場つぐみ 漫画.小畑健
- グレイプニル /武田すん
- 3月のライオン /羽海野チカ
- orange -オレンジ- /高野苺
- 坂道のアポロン /小玉ユキ
- 四月は君の嘘 /新川直司
- それでも町は廻っている /石黒正数
- G戦場ヘヴンズドア /日本橋ヨヲコ
- 最後に
はじめに
当ブログでは漫画作品への感想を以下のようなレーダーチャートで表現しております。
レーダーチャートについての説明
あくまで個人的な視点での感想ですが、ご参考にいただければと思います。10段階評価の平均を5としております。
レーダーチャートは2種類あり、共通の漫画レーダーチャートと青春漫画ジャンルのレーダーチャートと分けております。
単純に漫画の感想を知るには「共通漫画レーダーチャート」をご参考ください。
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厳選!青春時代を振り返えられる青春が題材の漫画(全40作品)
それでも歩は寄せてくる /山本崇一朗
タイトル:それでも歩は寄せてくる
作者 :山本崇一朗
連載期間:2019年~
巻数 :既刊13巻(2022年12月)
将棋を通してコミュニケーションをとりながら一途な思いを募らせる男子と、思いに気が付いてるが告白さないでヤキモキしている女子を描いた恋愛青春コメディ漫画です。
主人公で高校1年の田中歩(たなか あゆむ)は剣道を得意とするスポーツマンですが、高校の部活として剣道部には所属せず、将棋部に入部します。
田中歩は将棋部の部長で高校2年の八乙女うるし(やおとめ うるし)に恋心を抱いており、将棋は初心者ですが、八乙女うるしと会いたいが為に将棋部に毎日通います。
八乙女うるしは田中歩が自分に対して恋心があることに気が付いており、自分に惚れていることを認めさせようとしますが、田中歩は告白するのは八乙女うるしに将棋で勝った時と決めているため、本人の前では頑なに冷静沈着を装い、恋心を認めようとしません。
八乙女うるしは負けず嫌いで棋力も高く、田中歩との棋力の差は歴然ですが、ぐいぐい攻めてくる田中歩の姿勢に翻弄されることになります。
この漫画は高校の将棋部を舞台とした日常系青春ラブコメディで、1話完結の話が連続した構成となっています。
作者は「からかい上手の高木さん」で有名な山本崇一朗で、物語の構成が「からかい上手の高木さん」の男女を入れ替えた感じの作品となっており、ファンは楽しめること間違いありません。
将棋部を舞台としているため、将棋用語が頻繁に登場し、将棋で例えたせめぎ合いを恋心の駆け引きに取り込むなど、将棋のルールや簡単な戦術を知っていると深く作品を楽しむことが出来ます。
他の将棋をテーマにした漫画に比べると、将棋が前面に出ていない漫画なので、純粋に日常系青春ラブコメディ漫画として楽しむことが出来ます。
ランウェイで笑って /猪ノ谷言葉
タイトル:ランウェイで笑って
作者 :猪ノ谷言葉
連載期間:2017年~2021年
巻数 :全22巻
ファンションモデルを目指す少女とファッションデザイナーを目指す少年の友情と努力や才能の葛藤を描く青春物語です。
主人公で高校生の都村育人は服を作ることを趣味としており将来はファッションデザイナーになるという夢を持っています。
同じクラスの藤戸千雪は幼少の頃よりモデルとして活躍しており、将来はパリ・コレクションでファッションモデルとして活躍することを目指していますが、身長が158cmしか無くて、ファッションモデルとしての才能に恵まれませんが、モデルとしての努力を怠らずオーディションを受け続けていました。
千雪はオーディションに合格する為に育人に服の制作を依頼し、育人の作った服を着てオーディションに臨み、見事に合格を勝ち取ります。
同時に育人のデザインした服も目に止まり、育人は柳田一というファッションデザイナーの下で働くことになります。
この漫画はあまり漫画としてはテーマになっていない「ファッション」と「ファッションモデル」いうジャンルをテーマに切り込んだ漫画作品で、ファッションやモデル業界を知ることの出来る貴重な漫画です。
漫画の第1話は千雪の視点で描かれており、千雪が主人公と思わせておきながら話の最後で主人公が都村育人であるという語るシーンが意表を突き、読者に「ランウェイで笑って」という漫画作品を印象付けます。
ファッションという題材でありながら華やかさを全面に出すような物語展開ではなく、努力や才能への葛藤など、非常に泥臭い部分もしっかりと描写しており、熱血スポーツ物のような印象すら受ける作品です。
マンガ大賞2018では第6位にランクインしており、今後の展開が楽しみな漫画です。
アニメ版はこちらです。
かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~
タイトル:かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~
作者 :赤坂アカ
連載期間:2015年~
巻数 :既刊24巻(2022年2月現在)
名門校高等部の生徒会長の男子と副会長の女子がそれぞれ双方相手に惹かれているが、プライドが邪魔をして「相手から告白させる」ことに躍起になる「青春×恋愛×コメディ」漫画です。
主人公の一人の白銀御行(しろがね みゆき)は将来を期待されたエリートたちが集う名門校「秀知院学園高等部」で生徒会長を務めており、学園内では常に成績1位であり全国模試でもトップを争う学力を持つことや、模範的な立ち居振る舞いから生徒から衆望を集めています。
しかし、生まれ持っての天才ではなく努力で勝ち得たものであり、努力する姿を他者には見せないようにするプライドの高い性格をしています。
もう一人の主人公である四宮かぐや(しのみや かぐや)は巨大財閥の令嬢で文武共に高いレベルでこなせる生粋の天才ですが、四宮家の教育方針の影響もあって他人を見下したり利用価値の有無を考える打算的な性格で「自分は住む世界が違う」という高いプライドを持っています。
御行とかぐやは互いに相手に対して異性として惹かれ、また相手の好意をそれとなく感じていましたが、二人のプライドの高さは恋愛にも影響して、双方が自分から告白することを「恋愛での負け」と考えていました。
生徒会という接点がある中で互いが相手から告白してくるだろうと高をくくっていましたが、そのまま半年が経過して焦りを感じ、「いかにして相手に告白させるか」ということで頭脳戦を繰り広げることになります。
この漫画は学園もので青春と恋愛を題材にしていますがコメディ色が強く、また登場するキャラクターが個性的で大変インパクトがあります。
現在は「週刊ヤングジャンプ」で連載されており、青年誌としては変わった毛色の作品ですが、シリーズ累計発行部数は1000万部(2020年4月)を突破してアニメ化や実写映画化もしている人気の高い作品となっています。
副題の「天才たちの恋愛頭脳戦」にもあるように、互いの主人公がそれぞれ思考を巡らせて、相手に告白をさせるために様々な手を打ってくるのですが、そのやり取りが非常に巧妙で、恋愛心理を面白おかしく描いています。
また、生徒会を構成するメンバーが個性的で魅力があり、主人公以外の人物のキャラクターを前面に出した物語も含まれ、物語の展開が遅いわりに読者を飽きさせない構成が魅力となっています。
誰もが持つ青春時代特有の心理を突いた描写も数多く見られ、それぞれの人が持つ青春時代の記憶や既視感から不思議な魅力をもつ作品で、「面白いコメディ漫画」を探している方にはおすすめのタイトルです。
アニメ版や映画版はこちらです。
あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 /超平和バスターズ
タイトル:あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。
作者 :超平和バスターズ
連載期間:2012年~2013年
巻数 :全3巻
高校受験に失敗して引きこもり気味の生活を送っていた主人公の前に、死んだ幼馴染の幽霊が現れ「お願いを叶えて欲しい」と頼まれて友人たちと友情を取り戻し奮闘する青春漫画です。
主人公の宿海仁太は幼少の頃、幼馴染達で結成したグループのリーダー的存在でしたが、ある日、幼馴染の本間芽衣子に照れ隠しで思わず心にもない言葉を口にした後に芽衣子が事故で死んでしまい、トラウマとなっている過去を持ちます。
時は立ち、仁太は高校受験に失敗して志望していた高校に通えず引きこもりの生活を送っていました。
そんな仁太の元にある日、死んだはずの芽衣子の幽霊が現れて彼女から「お願いを叶えて欲しい」と頼まれることになります。
芽衣子のお願いとは何なのか、それを知るために再びバラバラになった幼馴染たちと連絡を取り、芽衣子の願いを叶えて成仏させるために動き出します。
このマンガは原作がアニメで、アニメ放送後に連載が開始されました。
アニメの絵柄をかなり再現しており、アニメを見ていない方をターゲットにしたマンガで丁寧な物語展開になっています。
このマンガは埼玉県秩父市が舞台設定のモデルとなっているので、物語中に実在する建物や風景が多く登場するので、ファンがその地を訪れる「聖地巡礼」でも話題になりました。
大変すばらしいストーリーなのでアニメはちょっと…という方には是非こちらのマンガをお勧めいたします。
アニメのコミカライズとしてはかなりクオリティが高い作品です。
小説版はこちらです。
アニメ版と実写版はこちらです。
ルリドラゴン /眞藤雅興
タイトル:ルリドラゴン
作者 :眞藤雅興
連載期間:2022年~
巻数 :既刊1巻(2020年10月)
女子高生がある朝いつも通りに目覚めると、頭に角が生えているという、突拍子もない設定から始まるこれまでの漫画には無かった展開の「日常系×青春×ファンタジー」漫画です。
主人公で青木ルリは、普通の女子高生として高校に通っていますが、ある朝、いつも通りに顔を洗っていると、鏡に映る自分の姿に異変がおきており、頭に2本の角が生えていることに気が付きます。
突然の得体の知れない変化が身体に現れ、角が頭から生えていることに驚愕したルリは、母親に助けを求めたところ、母親からは冷静にルリの父親は人間ではなく、龍(ドラゴン)であり、ルリはドラゴンと人間のハーフであることを告げられます。
母親からの告白に動揺を隠せないものの、角が生えただけで特に身体に問題がないことから、ルリはいつも通り学校に登校することにします。
同級生からは突然角が生えていることに奇異の目線を感じつつも、いつもと変わらない形で接してくれることに安心してのも束の間、ドラゴンとしての身体的な変化があらわれ、いつもの変わらない日常に大きな異変が起きていきます。
この漫画はジャンルとしては日常系青春漫画なのですが、ドラゴンというファンタジー要素をかなり強引な形でぶっこんできている作品です。
多くの漫画では日常の中にファンタジー要素をいれる場合は、世界観にある程度のファンタジー寄りの設定が盛られることが一般的ですが、この漫画では一切の寸度が見られず、ドラゴンどころかモンスターも存在しない、ごくごく普通の日本の日常社会の中に、突然角を生やして覚醒したドラゴンと人間のハーフを登場させるという、半ば強引とも言える世界観となっています。
こうした「突如覚醒した主人公」を題材とした作品の多くは、主人公が力に目覚めて社会がパニックが起こるような流れが多いですが、本作では日常の一部としてすんなりと社会に受け入れられており、「ゆるい日常」によって強引ともいえる平常運転で物語が進んでいきます。
漫画作品として珍しい物語展開であることや、読み進める中で違和感を感じつつも、それをすべて”うまく流すふわっとした世界”に好感が持てる作品で、絵柄も一般受けしやすいことから人にも勧めることができるお勧めの作品です。
スーパーカブ /原作.トネ・コーケン 漫画.蟹丹
タイトル:スーパーカブ
作者 :原作.トネ・コーケン 漫画.蟹丹
連載期間:2017年~
巻数 :既刊5巻(2021年3月現在)
山梨県の山間部を舞台とした一人の女子高生がホンダの名車「スーパーカブ」と出会い、少女の世界を広げる手伝いをしてくれるスーパーカブと少女の日常を描いた青春漫画です。
主人公で山梨県北杜市の高校に通う女子高生の小熊(こぐま)は天涯孤独な身で、父親は幼いころに他界して、母親は高校入学と同時に失踪しています。
小熊は母親が失踪した後、集合住宅で独り暮らしを始めて奨学金を受けながら高校に通い続けていますが、学校では特定の友達を作らず、趣味も持たない没個性的で閉じた生活を送っていました。
ある日、小熊は自転車で通学していたところ、坂道を楽々と登っていく原付を見て興味を持ち、通学用として原付の購入を検討しますが、高額で手が出せずにいたところ、バイク屋の店主が曰くつきだが1万円という破格で状態の良いス―パーカブの中古車を出してくれます。
小熊は縁起が良くないス―パーカブということ知りつつも、一切気にすることなくスーパーカブ50を購入します。
スーパーカブを手にした小熊は活動範囲は広がり、またスーパーカブをきっかけに様々な人と関わりを持つようになり、何もなかった小熊の生活に変化を与えることになります。
この漫画は天涯孤独で人との関りを持たず、また趣味を持たない一人の女子高生が一台のス―パーカブと出会うことで世界が広がり、様々な人と出会うことで人間関係を育む青春漫画です。
スーパーカブというバイクはホンダ(本田技研工業株式会社)が世界に誇る名作バイクで、
全世界通算で1億台が製造されて「世界で最も多く製造されたオートバイ」とされ、世界中で愛されている名車です。
原作である小説はホンダ公式の作品で、コミカライズされた漫画作品は「ホンダ・スーパーカブ総生産1億台記念作」として制作されています。
スーパーカブがどのような歴史と特徴を持つバイクなのかが大変良くわかる内容で、バイクを乗り始めることで得られる”バイク体験と世界観の広がり”がうまく読者に伝わる内容となっており、バイクに興味がない方も思わずス―パーカブに興味を持ってしまう魅力的な内容となっています。
バイクにスポットを当てた作品ですが、公道レースのような派手な展開は無く、一人の少女がバイクを通して人として成長してく姿を描く日常系青春ストーリーで、ス―パーカブの魅力と可能性が存分に伝わる作品となっています。
小説版はこちらです。
冷たい校舎の時は止まる /原作.辻村深月 漫画.新川直司
タイトル:冷たい校舎の時は止まる
作者 :原作.辻村深月 漫画.新川直司
連載期間:2008年~2009年
巻数 :全4巻
大学受験を控えた高校3年生の男女8人がある日学校に登校したところ、無人の校舎に閉じ込められるミステリー・サスペンス青春漫画です。
主人公の鷹野博嗣(たかの ひろし)は進学校である青南学院高校に通い、かつて陸上部に所属して運動もできて成績が優秀な特待生で、志望大学に向けて勉学に励んでいました。
ある日、冬の雪が降りしきる登校日で学校に向かったところ、普段仲の良い8人の生徒しか登校しておらず、帰宅しようとするも不思議な力で学校に閉じ込めらることになります。
この高校では秋の学園祭で生徒が校舎から飛び降りて自殺をしたことで生徒たちは心に傷を負うことになったのですが、閉じ込められた8人は学校中の時計が学園祭で生徒が飛び降り自殺をした17時53分を差していることに気が付き、同時に自殺したクラスメイトの名前を8人とも思い出せないことに気付きます。
8人は何故学校に閉じ込められるのか?自殺した生徒の正体は誰で何の目的で閉じ込めるのか?閉鎖空間に閉じ込められた8人が不可解な現象の正体を突き止めるために自殺した生徒の真相を追います。
この漫画は小説家の辻村深月が原作を担当して、新川直司が作画を担当しているミステリー・サスペンス小説のコミカライズ作品です。
小説作品は上中下の全3巻構成なのですが、コミカライズ作品は全4巻と小説が原作のミステリー作品としてはかなりコンパクトにまとまっています。
そのせいかミステリー・サスペンス作品であるにも関わらず物語展開が早く、また8人の生徒それぞれの過去のエピソードやそれぞれの人間関係も複雑に絡むため、ゆっくり読まないと理解が追いつかないところが所々あるため、漫画を読んでいるに小説を読んでいるような感じを受けるところがあります。
登場人物は8人の生徒と関係する数人しか登場しないのですが、「名字」「名前」「あだ名」が飛び交うため、「誰と誰がどのような関係なのか」という相関図を書いて読み進めると読みやすくて面白味が増します。
1度読み終えた後に結末を知ってから読み返すと、そこら中に謎のヒントが隠されていたことが分かるため、複数回読むことで作品の本質が伝わる漫画作品と言えます。
小説版はこちらです。
おやすみシェヘラザード /篠房六郎
タイトル:おやすみシェヘラザード
作者 :篠房六郎
連載期間:2018年~2021年
巻数 :全5巻
女子高校の寮で生活する映画好きの学生が、自分の好きな映画のストーリーを友人に語る内容が中心の一風変わった青春映画批評漫画です。
主人公で高校2年生の箆里詩慧(へらざとしえ)は映画好きで映画をこよなく愛しする学生で、成績優秀で容姿端麗でモデル業を営むなど学生の中では注目される人物です。
ただ、詩慧はコミュ障で友達がいない為、大好きな映画の話をする相手がおらず、女子寮で知り合った学生に、夜寝る前に映画の話をすることを趣味としていました。
もう一人の主人公の二都麻鳥(にとあさと)は寮の友人の部屋に行こうとしている際に、寮母の目を逃れるために詩慧の部屋に思わぬ形で入ってしまい、詩慧は映画の話を聞いてくれる人物が来たことを歓迎することになります。
詩慧は嬉々として映画の話を始めますが、問題は詩慧は人に話を伝えるのがとてつもなくヘタクソで、映画の物語を一通り話すも、内容が分かりにくく間延びした展開が続くため、麻鳥は最後まで聞くことが出来ず眠りに落ちてしまいます。
この漫画は1話に付き1本の映画作品のあらすじと見どころを説明してくれる漫画で、映画の評判や世間的な評価といった内容を知ることのできる構成となっています。
話の中で登場する映画は、かなりマニアックなものからメジャータイトルまで幅広く、知っている作品であれば「たしかにこんな評価になるかも」という納得の説明から、映画に対して興味が湧く誇張した解説など、映画の良い点も悪い点も面白おかしく語ります。
漫画で映画のストーリーや評価を面白おかしく描くというのは、権利関係の問題で「いかに問題のない形にして出すか」という大きなハードルがあり、この漫画は企画自体が様々な出版社を転々として、ようやく実現した作品で、非常に目新しい作風となっています。
映画好きの方であれば楽しめる作品で、知らなかった名作映画を知るきっかけとなるので、読者を選ぶ作品ですが映画に興味がある方には受け入れられる漫画と言えます。
東京卍リベンジャーズ /和久井健
タイトル:東京卍リベンジャーズ
作者 :和久井健
連載期間:2017年~
巻数 :既刊30巻(2022年12月)
タイムリープの能力に目覚めた青年が中学生時代の彼女の死を回避する為に、過去と現在を行き来するSF要素であるタイムリープとミステリー・サスペンスが加わったこれまでに無かったヤンキー漫画です。
主人公の花垣武道はフリーターで生計を立てる26歳の冴えない青年ですが、かつては不良に憧れて腕っぷし一つで成り上がることを夢見ていました。
そんなある日、中学時代の彼女だった橘日向と弟の橘直人が「暴走族東京卍會(東卍)」の抗争に巻き込まれて死亡したニュースを目にします。
武道の中学生時代は彼女がいて気の合う仲間と夢を語りながら青春を送る人生の絶頂期でしたが、「暴走族東京卍會(東卍)」と関りを持つことで転落して、彼女と仲間を置いて逃げ出した負い目とトラウマを抱えていました。
武道はバイト帰りに駅のホームで電車を待っていたところ、何者かに線路に突き落とされて死を覚悟した瞬間に、人生の絶頂期であった12年前の2005年7月4日に戻っていました。
そこで12年後の2017年に死ぬことになる橘日向と弟である橘直人と出会い、橘直人に12年後に二人は死ぬ運命である事を伝えたところ、武道は列車に轢かれる死ぬ運命を回避した2017年に戻り、同時に「暴走族東京卍會(東卍)」の抗争に巻き込まれて事故死する運命を回避した直人と再会します。
直人は2005年にタイムリープした武道と出会った事で「暴走族東京卍會(東卍)」の抗争に巻き込まれる死の運命から回避出来ましたが、日向は抗争に巻き込まれて死亡しており、武道は直人と協力して日向を死の運命から回避させるために、元凶となる2005年に再びタイムリープして自身の過去と運命の改編に奔走します。
この漫画はヤンキー漫画にSF要素である「タイムリープ」を取り込んだ作品で、これまでに無かった新しい面白さがあります。
また、タイムリープをして過去である2005年に改変を行った結果、現在である2017年に変化が起こり、2017年で変化した状況から新たな情報を知ることで、再び2005年に戻って運命を変えようとする”タイムリープを繰り返す事で事件の真相が次第に明らかになるというミステリー・サスペンス”の様相も見せる壮大な物語となっています。
不良の世界を題材にしたヤンキー漫画は私はこれまで余り好んで読んでこなかったこともあり、この作品を知ったのは最近なのですが、この漫画はヤンキー漫画の衣を纏ったタイムリープを題材とした「SF×ミステリー・サスペンス」作品と言え、SFやタイムトラベルものがが好きな方には大変おすすめの作品と言えます。
この漫画はアニメ化や実写映画化もされている人気作品で、展開がスピーディーでありながら伏線を綺麗に回収しており、また、元凶となる暴走族チームで活躍して成り上がる姿も描かれている、ヤンキー漫画として読んでも大変面白い作品です。
アニメ版はこちらです。
バジーノイズ /むつき潤
タイトル:バジーノイズ
作者 :むつき潤
連載期間:2018年~
巻数 :既刊5巻(2021年2月現在)
閉じこもった世界で好きに音楽を作り楽しむという生活を送っていた青年が、とある女性と知り合ったことで外の世界に目を向け音楽の世界へ踏み出す青春恋愛音楽漫画です。
主人公の清澄は21歳と若い身でありながらマンションの管理人を生業としており、シンプルなルーチンワークを求め、仕事は趣味の音楽を続けるためのものと割り切っていました。
清澄は音楽をパソコンやサンプラーと呼ばれる機械を使って作曲して、自分で聞いて楽しむということを趣味としており、「すきなもんいっこ、あればいい」と考えて、音楽以外に興味を示さず日々の生活を送っていました。
そんなある日、清澄の前に潮(うしお)と名乗る女性が現れ、清澄の才能を高く評価して、清澄の作った音楽を世間に広めようと働きかけ、閉じた世界に強烈な“ノイズ”が流れ込み、清澄の人生を大きく変えることになります。
この漫画は音楽を趣味として音楽以外に興味を示さない清澄が、潮と出会ったことで外の世界に興味を持ち、音楽を人に聞かせて楽しむという喜びを見つけて、やがてバンド活動を行うようになる青春恋愛音楽漫画です。
神戸の舞子を舞台とした漫画で、神戸に詳しい人にはなじみのある場所が登場するので、神戸が地元という方は没入感が高く楽しむことができます。
漫画全体の絵がおしゃれで、コマ割りや吹き出しが独特で、読者をうまく引きずり込む不思議な魅力があり、何度も読み返したく独特の雰囲気があります。
音楽を知らない読者が読んでも楽しめる構成になっており、現在の音楽業界の事情やSNSによる情報の拡散といったものが盛り込まれ、ネット社会を中心とした現在の若者をターゲットとした漫画と言えます。
北北西に曇と往け /入江 亜季
タイトル:北北西に曇と往け
作者 :入江 亜季
連載期間:2017年~
巻数 :既刊6巻(2022年12月現在)
アイスランドを舞台とした機械と会話が出来る不思議な力を持つ青年が探偵業を営むミステリー青春漫画です。
主人公の御山慧(みやま・けい)は白人の血が混じる日本人離れしたルックスを持つ17歳の青年で、フランス人で祖父のジャックとアイスランドで生活しながら探偵業を営んでいます。
慧は家族にも秘密にしている「自動車や電化製品などと会話が出来る」能力を持っており、愛車であるジムニーを走らせながら探偵の依頼を受けて生活費を稼いでいます。
探偵業の依頼内容は様々で、人探しや飼い犬を連れ戻すというものなど派手なものはありませんが、しっかりとした観察眼と地道な調査で事の真相を追っていきます。
慧は若く不安定で危なっかしいところもありますが、祖父のジャックと生活をしながら、北緯64度のアイスランドという自然があふれた土地で、気ままに暮らしながら大人へと成長をしていきます。
この漫画は小説のように楽しむことが出来る漫画家「入江亜季」の作品で、まるで海外ドラマを見ているような感覚になる珍しい作品です。
舞台が北極圏に近い北欧の小さな島国であるアイスランドで、日本人には馴染みのない遠い国ですが、日本と同じように火山立国で、火山や温泉といった共通点もあります。
アイスランドの特徴や風土といったものがかなり詳細に描かれており、読んでいるとアイスランドに興味が湧いてくる不思議な魅力がある漫画です。
ミステリー漫画としても面白く、探偵業を中心とした大筋の物語がある中で、消息を断った弟や叔父叔母の死など真相を明かす展開があり、慧を取り巻く人間関係や少年から大人になろうとしている17歳という微妙な年齢での成長が描かれています。
先ほども触れましたが小説や海外ドラマを見ている感覚になる作品で、評価が分かれるところですが、何度も読み返すことで気が付く点が見つかるなど新しい感覚を持つ漫画なので、興味がある方は是非読んでみてください。
ハイスコアガール /押切蓮介
タイトル:ハイスコアガール
作者 :押切蓮介
連載期間:2016年~2019年
巻数 :全10巻
日本のアーケードゲーム黎明期から空前の格闘ゲームブームが起きた1990年代を舞台としたアーケードゲームをテーマとした青春恋愛漫画です。
主人公で小学生の矢口春雄はゲーム好きの男の子で、小学生でありながら当時は不良のたまり場として見られていたゲームセンターに入り浸っていました。
春雄は勉強や運動も苦手でしたが、ことゲームに関しては近所では敵なしの強さを誇っており、自身が最も輝ける場所であるゲームセンターを「聖域」と考えていました。
しかし、その聖域であるゲームセンターにクラスメイトの成績優秀で金持ちのお嬢様である大野晶と出会い、敵なしだった春雄は得意とする「ストリートファイターⅡ」で惨敗を喫します。
この出会いで春雄は晶に対してライバルとして意識するようになり、春雄と晶はゲームを通じて互いを意識した長い付き合いとなり青春時代を過ごします。
この漫画は実在する有名なアーケードゲームが登場するゲーム好きにはたまらない内容で、現在の30代後半から40代前半の方にはかなり突き刺さる内容となっています。
まさに黎明期のアーケードゲームの時代から、ストリートファイターⅡが発売されて、日本を巻き込む空前の対戦格闘ゲームブームを巻き起こした、ゲームセンターが最も熱く盛り上がった時代を背景にしており、当時ゲームセンターに通った方や、その時代を過ごした方にとっては、まさにドストライクな内容であり、読み返していると青春時代を思い起こす素晴らしい内容となっています。
ゲーム好きはもちろん、ゲームをしなかった方でも90年代の時代背景をしっかりと描写された内容となっている為、没入感が大変高くて何度も読み返したくなる大変魅力のある内容で、ゲームをテーマにした内容でありながら不器用で初々しい恋愛漫画でもあるおすすめの漫画です。
2018年にアニメ化しています。
空電ノイズの姫君 /冬目景
タイトル:空電ノイズの姫君
作者 :冬目景
連載期間:2017年~
巻数 :全3巻+既刊3巻(2021年7月現在)
ギターが好きな女子高生がロックバンドを始める青春音楽漫画です。
主人公で女子高生の保坂 磨音はミュージシャンの父と二人暮らしをしているごく普通の女の子ですが、幼少の頃よりギターに触れていた事もあり、父親譲りの抜群のギターテクニックを持っています。
ある朝登校すると教室から美しい歌声が聴こえて来て、覗くと転校生の支倉 夜祈子が歌をうたっていました。
夜祈子は美人でどこかミステリアスで大人っぽい女性で二人は次第に仲良くなります。
そんなある日、磨音はプロデビューを目指してギターを探していた「アルタゴ」のメンバーである大学生・高瀬たちと出会い、音楽の面白さを再認識してメンバーの一員となりギターを本格的に始めることになります。
このマンガは冬目景のマンガ作品特有の魅力的な世界観が広がるマンガで、キャラクターや物語の運びなど、冬目景のファンなら間違いのないマンガです。
1巻では夜祈子が磨音と音楽にどう絡んでくるかはまだわかりませんが、磨音と夜祈子のふたりの友情と音楽が奏でる青春ストーリーの物語が予想され、これからの展開が楽しみです。
音楽描写も雰囲気があり磨音がギターを力強く奏でるシーンはまるで音が聞こえてきそうな描写で、今後のライブシーンなどがどんな形で描かれるのかが楽しみです。
夜祈子にはまだまだ秘密があり、ミステリアスな背景が明らかになっていませんが、そういった部分が次第に明らかになるのも楽しみです。
BECK /ハロルド作石
タイトル:BECK
作者 :ハロルド作石
連載期間:1999年~2008年
巻数 :全34巻
若者達がロックバンドで活躍する青春音楽漫画です。
主人公の田中 幸雄(コユキ)は平凡な高校生活を送っていましたが、ある日継ぎ接ぎだらけの犬とその飼い主である南 竜介と出会います。
竜介はニューヨーク帰りの帰国子女で天才ギタリストでもあり、全米で影響力のあるバンド「The Dying Breed」のメンバーと交流を持っていました。
コユキは竜介との出会いにより音楽の世界に入り込むことになり、ギター&ボーカルとして竜介達のバンドである「BECK」のメンバーに加わります。
BECKは着実にステージをこなして行き活動の場を広げ、ある日「The Dying Breed」のシークレットライブでコユキがステージに呼ばれることになり注目を集めることになります。
しかしこの事が、日本の音楽業界の実力者の怒りを買うことになり、BECKの活動を妨害してくることになります。
このマンガはロックバンドの結成から様々な妨害を受けつつも、困難を乗り越えて次第にメジャーになっていく物語で、日の目をなかなか見ないながらも成長してチャンスをつかみものにしていくサクセスストーリーが魅力です。
マンガというメディアでは音は鳴らないはずなのに、読んでいると音楽が聞こえて来るような描写が多々あり、音楽マンガとして非常に魅力的な描写と内容となっています。
2004年にアニメ化し2010年には映画化するなど、様々なメディアで成功を収めている作品で音楽を聴きながら楽しみたいという方はアニメ版をおすすめいたします。
2004年にアニメ化、2010年に映画化しています。
ましろのおと /羅川真里茂
タイトル:ましろのおと
作者 :羅川真里茂
連載期間:2010年~
巻数 :既刊23巻(2019年9月現在)
津軽三味線をテーマにした高校生が主人公の青春音楽漫画です。
主人公で津軽三味線奏者の澤村 雪は三味線の師であった祖父が亡くなったことで、自分の音を探すために単身上京します。
行く当てもの無く街を迷っていると、ささいなことがきっかけでキャバクラで働きながら、グラビアアイドルを目指す女性と、そのバンドをしている彼氏と出会い、ライブ会場の前座として津軽三味線を演奏することになり、津軽三味線の素晴らしさと祖父の偉大さを再認識することになります。
雪は高校には1年生の夏から通っていませんでしたが、上京後は母親である澤村梅子の言い付けで梅園学園へ転入して、高校生活を送ることになります。
雪は祖父譲りの津軽三味線の才能を持ちますが演奏にはムラがあり、明確な目的がある演奏ではその才能を遺憾なく発揮しますが、そうではないときはおざなりな演奏になってしまいます。
雪は人とのかかわりを積極的に持ちませんでしたが、学校生活を送る中で人との出会いなどを機に少しずつ成長して自らの音を探し求めるようになります。
津軽三味線というあまり親しみのない楽器をテーマにしており、津軽三味線の魅力や知識を知ることのできるマンガです。
少女マンガ風ですが、演奏シーンが力強く描かれており、津軽三味線の凄さが伝わり、奏者でそれぞれの音の個性が出る描写は圧巻です。
津軽三味線独自の演奏方法など、一般人が知らない内容が出てきますが、必要以上の説明はせずに、津軽三味線を知らない人でも気軽に読むことが出来て、うまく興味を持たせてくれます。
じけんじゃけん! /安田剛助
タイトル:じけんじゃけん!
作者 :安田剛助
連載期間:2016年~2020年
巻数 :全7巻
高校の同好会である「ミステリ研究同好会」で起こる、ミステリー小説を愛してやまない女子高生を中心とした日常を描く日常系青春ミステリー漫画です。
主人公で女子高校生の白銀百合子は広島弁が特徴の校内一の美女で、ミステリを愛してやまない性格であり、ミステリーのトリックを自ら考えたり、時には自身が死体役となってトリックを披露するなど、同好会の後輩にミステリーの面白さを伝えることを楽しみとしています。
同好会では活動の一環で密室トリックを披露したり、離島の洋館で夏合宿をするなど、全ての活動に「ミステリ」を絡める力の入れようで、百合子はミステリの為なら努力を惜しまないちょっと変わった性格の持ち主です。
そんな百合子に惚れてミステリ研究同好会に入った戸入蕗太郎や、戸入の同級生や後輩などが集まり、ミステリを絡めつつも人間関係を育み青春を謳歌します。
この漫画はミステリ好きの少し変わった性格の白銀百合子を中心とした高校生活を、「ミステリ」の題材に絡めて面白おかしく描いた作品で、事件が頻発して謎解きがメインの物語ではありません。
その為、「事件」「謎」「トリック」を解くことを楽しみとして読むと肩透かしを喰らうマンガで、どちらかというと「ミステリに興味がない方に向けたコメディ漫画」と言えます。
ミステリに知識がない方でも分かりやすくミステリ特有のトリックを解説したり、有名ミステリ小説の解説や、どういった点に意識して読み進めるとミステリ作品が楽しめるのかといった解説が丁重にされており、ミステリ作品をあまり知らない方に「ミステリ」の面白さについて興味を持たせる内容となっています。
物語は主人公の百合子を中心とした高校生活の日常を描く「日常系コメディ漫画」と言え、日常の中にミステリの解釈や有名どころからマイナーまでの様々な作品を取り入れて読者に語る、非常に目新しい新感覚の漫画作品と言えます。
SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん /長田悠幸
タイトル:SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん
作者 :長田悠幸
連載期間:2013年~
巻数 :既刊20巻(2023年4月現在)
ジミ・ヘンドリクスの亡霊に取りつかれた高校の英語教師が、ギターの楽しみを思い出して生徒達と軽音部を立ち上げてロックバンドを始める「熱血×青春×音楽」漫画です。
主人公で高校の英語教師をしている本田 紫織(ほんだ しおり)は地味な容姿で存在感が薄くて気弱な性格の持ち主で、実家の借金返済のために節約と仕事に明け暮れる毎日を送っていました。
紫織は高校時代にガールズバンドを組んでいましたが、兄が音楽関係が原因の多額の借金を残して失踪したことで、父の反対でバンド活動を諦めざるを得なくなり、ギターを封印し、その後は家族を支えるために自分のやりたいことを押し殺して毎日を送っていました。
27歳の誕生日を迎えた紫織は、失踪前に兄からもらったギターを取り出そうとしたところ、伝説のギタリストであるジミ・ヘンドリックスの亡霊の憑りつかれます。
ジミ・ヘンドリックスの亡霊に取りつかれた紫織は、吹奏楽部の演奏中にステージに上がりギター演奏を始め、忘れていた音楽に再び触れたことで、バンドこそが自分のやりたいことであると再認識しました。
しかし、紫織はジミ・ヘンドリックスの亡霊が憑依することで超絶技巧のギターテクニックが使えるようになると同時に呪いを受けることになり、「27歳が終わる日までに音楽で伝説を残さなければ死ぬ」ことを言い渡されます。
この漫画は実在で伝説のギタリストであるジミ・ヘンドリクスの亡霊と契約を結び、自身に憑依させることで、超絶技巧のギターテクニックを手にできるという設定がありますが、同時にジミ・ヘンドリクスの亡霊に憑依されて超絶技巧のギターテクニックを使った者は、27歳が終わるその日までに音楽で伝説を残さないと死ぬという呪いを受けます。
この「27歳が終わるその日までに音楽で伝説を残さないと死ぬ」という呪いは、「The 27 Club」と呼ばれる伝承が元になっており、音楽で成功を納めたブライアン・ジョーンズ、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、ジム・モリスンなどは、1969年~1971年の間に27歳の若さで亡くなっています。
主人公の紫織も超絶技巧のギターテクニックを使ったことで、27歳が終るまでの1年間で音楽で伝説を残さなければ死ぬ運命である為、生徒達と軽音部を立ち上げ、伝説の達成へ向けて音楽活動を始めることになります。
この漫画では音楽の演奏シーンの表現が特徴的で、擬音の数や形状や配置を細かく描き分けて”音”を表現する他、「爆発」「竜巻」などの非現実的かつ迫力のある演出で音楽を漫画というメディアで伝えています。
コミカルなタッチのマンガですが、音楽を通して魂を揺さぶる熱血物語が非常に面白く、読んでいると気持ちが熱くなる「笑いあり」「青春あり」のおすすめのマンガです。
ブルーピリオド /山口つばさ
タイトル:ブルーピリオド
作者 :山口つばさ
連載期間:2017年~
巻数 :既刊13巻(2023年4月現在)
今まで美術や芸術に縁が無かった男子高校生が、絵の魅力に取りつかれて美術大学を目指す熱血青春文科系スポ根漫画です。
主人公で高校2年生の矢口八虎は、リア充でちょっと悪ぶった友人達と高校生活を謳歌しつつも、影ではしっかりと努力して勉強をしており、成績優秀で堅実な大学への進学を目指していました。
八虎は一見充実した高校生活を送っているはずですが、どこか空虚な焦燥感を感じて毎日を送っていました。
ある日、八虎は一枚の絵に心奪われて絵に感化されてることになり、その衝撃は八虎を駆り立てて美術の世界に足を踏み入れることになります。
そして、八虎は全くのゼロからデッサンや絵画を学び美大への進学を本気で目指すことになります。
この漫画は美術大学の受験をテーマにした漫画で、美術大学受験や絵画や芸術の知識が身につく漫画です。
この漫画は非常に台詞周りが素晴らしく、登場人物の一言一言が熱く突き刺さる漫画で、熱血青春文科系スポ根マンガとも言えます。
読んだ後に「何かを始めたい!」という気持ちに駆り立てられ、すごく熱量を感じる漫画作品で、美術に対して興味がある方には心を震わす熱い展開が続きます。
話の中で絵画の本質が語られていくのも特徴で、絵の知識が無い人にも分かりやすく絵画の魅力や技法の説明が描かれており、美術にや芸術に対して非常に勉強になる漫画です。
のだめカンタービレ /二ノ宮知子
タイトル:のだめカンタービレ
作者 :二ノ宮知子
連載期間:2001年~2010年
巻数 :全25巻
音楽大学の学生が主人公のクラシック音楽青春マンガです。
主人公の千秋 真一は音楽の才能に恵まれた青年でピアノ科に在籍しながらも指揮者を目指していましたが、重度の飛行機と船の乗り物恐怖症の為、クラシック音楽の本場であるヨーロッパに渡ることが出来ずに将来に不安を感じて思い悩んでいました。
ある日千秋は酔っぱらって自宅前で眠って目が覚めるとゴミ部屋の中で美しいピアノを奏でる女性がいました。
彼女はもう一人の主人公の野田 恵(のだめ)で千秋と同じ音大のピアノ科に在籍した隣の部屋に住む女性でした。
千秋は のだめの持つピアノの天賦の才能を感じ取り、のだめの才能を引き出すべく、ずぼらな性格にあきれつつも関わりを持つようになります。
このマンガはクラシック音楽というまじめなテーマを題材にしていますが、千秋と のだめのやり取りが非常に面白くて、笑いがこみあげてくるコメディ色の強いマンガです。
ピアノに関して天賦の才能を持つが、他の事が全くだめな のだめと音楽の才能を持つが才能の壁を感じている千秋との、音楽に対する取り組みややり取りが面白く、一般の人がなかなか知ることが出来ないクラッシックや日本の音大の世界を知ることが出来る教養色のある内容で、音楽を知らない人が読んでもクラシック音楽に興味を持てて楽しめます。
この漫画は映画やドラマ、アニメなど様々なメディアでも成功をおさめた作品で、テンポも非常に良くて少女漫画だけど安心してすんなり読むことが出来ます。
2007年、2008年、2010年にアニメ化して2006年にドラマ化、2009年には映画化しています。
ボールルームへようこそ /竹内友
タイトル:ボールルームへようこそ
作者 :竹内友
連載期間:2011年~
巻数 :既刊11巻(2021年6月現在)
舞踏室(ボールルーム)を舞台としたスポーツダンスがテーマの内容で、特に打ち込めるものが無かった少年が社交ダンスに出会い、のめり込んでいく青春熱血スポーツ漫画です。
主人公で中学3年生の富士田多々良は将来への夢や趣味もなく、毎日を無気力に過ごしていた中、些細なきっかけでダンススクールの門徒を叩きます。
はじめは乗り気では無かった多々良はスポーツダンスの世界を知り、深く知れば知るほど、その凄さと迫力に圧倒されることになります。
また、同じダンススクールに通っている同級生の花岡雫が、アマチュアランキング一位のダンサーであり、プロダンサーを目指すために留学を考えるほど真剣に取り組んでいる姿を見て、「何か一つでいい、好きだと言えるものがあれば」と考えていた多々良は、自分自身を変えるために社交ダンスの世界へ足を踏み入れることにします。
この漫画は「社交ダンス」の世界を題材とした熱血スポーツ漫画で、社交ダンスを知らない方に向けた、社交ダンスの魅力が伝わってくる内容となっています。
一般の人は社交ダンスをスポーツと捉えることはなかなか無いですが、姿勢を保ち体の軸をぶれないように踊るというのは大変な練習と肉体作りが必要で、スポーツダンスの世界をしっかりと読者伝え、その難しさと魅力をわかりやすく描いています。
多々良は非凡ながらも努力家で、ハプニングでダンス大会で雫と踊ることになったことがきっかけとなり、スポーツダンスの世界にどっぷりと浸かっていくことになります。
スポーツ根性ものがベースとなった物語で、恋愛や青春とした要素も含まれており、幅広い読者にむけた大変胸を熱くする漫画です。
2017年にはアニメ化しています。
ふらいんぐうぃっち /石塚千尋
タイトル:ふらいんぐうぃっち
作者 :石塚千尋
連載期間:2012年~
巻数 :既刊10巻(2021年12月現在)
見習いの魔法使いの少女が15歳になったら独立して家を出るという魔女の風習に従い、又従兄弟の一家に居候する日常系ファンタジー青春漫画です。
主人公で見習い魔女の木幡真琴は、15歳になったら独立して家を出るという魔女のしきたりに従い、使い魔の黒猫チトと共に青森県弘前市にある又従兄弟の一家で居候を始めることになります。
自然が豊かな東北地方の弘前を舞台にして真琴は高校に通い、魔女として修業を積みながら様々な人達と関わりを持つようになります。
そうした関わりを持つ人たちには同じく魔女もいますが、精霊や幽霊など不思議な存在達との交流も描かれていり、ゆったりと時間が流れる自然豊かな田舎の中で、真琴と真琴を取り巻く人々の日常を描きます。
この漫画は現在日本に魔女がいて、魔女の組織が日常に溶け込んでいる設定となっており、魔女のネットワークや魔女協会という組織が存在します。
ほのぼのとした日常系の物語が主体で、その中で魔法というアクセントがある漫画なので、魔法で派手な展開等を期待するようなことはありません。
真琴を中心として彼女を取り巻く人々の騒々しくも穏やかな日常の風景を淡々と描かれるマンガで、バトル要素や恋愛要素も皆無で、ゆっくりとしたほのぼの日常系マンガを求めている方にピッタリなマンガです。
2016年にアニメ化しています。
氷菓 /原作.米澤穂信 漫画.タスクオーナ
タイトル:氷菓
作者 :原作.米澤穂信 漫画.タスクオーナ作画
連載期間:2012年~
巻数 :既刊13巻(2022年1月現在)
高校の部活である「古典部」を中心とした日常に起こる些細な出来事を題材に、謎を解き明かす連作短編形式の小説が原作の青春ミステリー漫画です。
主人公で高校1年生の折木奉太郎は、何事にも積極的に関わろうとしない「省エネ主義」を信条としており、部活動が盛んな神山高校でも部活に入部せずに過ごす予定でしたが、古典部OGの姉からの古典部の存続の為に入部を勧められ、特にやりたいこともないことから入部することを決めます。
同じく一年生の千反田えるは、古典部に「一身上の都合」で入部した為、部の存続が保たれたわけですが、その際に部室に閉じ込められる出来事が起きて、奉太郎がその謎を解き明かします。
奉太郎の思考やひらめきに感服した千反田は、奉太郎に「一身上の都合」で古典部に入部した理由と、古典部の文集「氷菓」に秘められた33年前の真実を伝え、「氷菓」の謎を解くために奔走することになります。
この漫画はKADOKAWAの学園小説で賞を受賞した「〈古典部〉シリーズ」を原作としたミステリー漫画で、2012年にテレビアニメ化して、2017年には実写映画化されるなど、話題のコミカライズ作品です。
小説が原作のコミカライズ作品ではありますが、アニメ化のタイミングで連載が開始された漫画作品なので、多くの点でアニメーション準拠のデザインとなっています。
ただ、内容を読むと「アニメを漫画にした」作品ではなく、「原作小説を漫画にした」作品であるため、アニメを見た方が漫画を読んだとしても楽しめる内容となっており、文字に起こされていることで、より物語がわかりやすくなっています。
学園の中での日常の出来事の謎を解くミステリー漫画であるため、殺人事件や壮大な陰謀を解くようなストーリーの派手さはありませんが、しっかりと練られたストーリーと、謎解きの講釈が面白く、時間を忘れて夢中で読めるおすすめのミステリー漫画と言えます。
小説版はこちらです。
よふかしのうた /コトヤマ
タイトル:よふかしのうた
作者 :コトヤマ
連載期間:2019年~
巻数 :既刊15巻(2023年4月)
学校に行くことがめんどくさくなり不登校になった少年が夜の街を徘徊していたところ出会った吸血鬼の少女とのコミュニケーションを描く青春ファンタジーコメディ漫画です。
主人公で中学2年生の夜守コウは、学校生活はうまくいっていると自負していたのですが、些細な事から人間関係でトラブルを持ち、突然何もかも嫌になって学校に行くのをやめてしまいます。
学校に行かなくなったことで家に引きこもるようになり、結果として体力を使わないことから夜に眠れなくなり、夜の街を一人で徘徊するようになります。
夜の街は自由で一人で好きに歩き回れることから、コウは居場所を見つけたような安心感を持ちますが、そんなコウの前に眠れなくて困っている人の相談や悩みを解決しているという七草ナズナという少女が現れます。
ナズナは不思議な雰囲気を持ち「カウセリング」と称してコウを自宅に誘いますが、少女の正体は吸血鬼で、コウの血を吸うことを目的としていました。
この漫画は中学生の少年の日常の中に突如現れた吸血鬼との関わりを面白おかしく描いた「青春×ファンタジー×コメディ」と様々な要素を持つ物語となっています。
ストーリーの中で思春期の中学生が抱えがちな悩みを描写しており、主人公がどうして不登校になり夜の街を徘徊するようになったのか、端的ながらも共感しやすい内容で描かれています。
中学生の視点での「夜の街」に対する魅力や、自由を謳歌する事への冒険心といった誰もが持つ思春期の記憶を思い出させてくれる展開から、吸血鬼の少女との出会いというファンタジーな展開に広がります。
ただ、この作品で登場する吸血鬼は、血を吸われたからといって直ぐに眷属になるわけではなく、ファンタジー要素が非常に低く抑えられ、吸血鬼である七草ナズナの存在が、ちょっと変わった少女として描かれています。
ファンタジー要素が含みつつも思春期の少年の心を面白おかしく描いた作品で、今後の展開が読めずどのようの物語が広がるか楽しみな作品となっています。
ハルロック /西餅
タイトル:ハルロック
作者 :西餅
連載期間:2014年~2015年
巻数 :全4巻
電子工作の魅力に虜になった女子大生が主人公の「電子工作×青春」漫画です。
主人公の向阪晴は幼少の頃よりドライバーを片手に様々なものを興味本位で分解する癖があり、家族からはドライバーを取り上げられますが、それでもやまない好奇心が彼女の中にあり、近所をドライバーを求めてうろつくなど、知的好奇心が旺盛な幼少時代を過ごします。
時は立ち高校生になった晴はなんとなく入った電気部の顧問の勧めで電子工作を始めることになります。
そこで作成した電子工作の題材は「3分タイマー」だったのですが、晴は「人生の残り時間付きタイマー」を作り、顧問の残り人生を表示するタイマーを生み出します。
この電子工作と顧問の影響を受けて電子工作の魅力に浸かれた晴は、その後大学生と成長し、週末には秋葉原で電子工作の材料を買いに行くという、電子工作にどっぷりと浸かったキャンパスライフを送ります。
晴は穏やかで優しいですが、どこか抜けた性格で発想や行動が個性的で年頃の女の子なのに変わった趣味を持つことに母親もあきれ将来を不安に思われていますが、電子工作を通じて様々な人との出会いが晴の人間性の成長へとつながり、やがて電子工作を通じて人に役立つものを作ろうとする晴は起業を目指します。
基本は主人公の晴と周囲の人たちの成長を描いた青春漫画なのですが、メインテーマが「電子工作」というのがギャップがあり、「電子工作×青春」という組み合わせが読者を引きつけます。
この漫画は基本的に電子工作を知らない読者層をターゲットとしており、「漫画を通して電子工作を学ぶ」のではなく、「電子工作をするとこんなこと出来ちゃうよ」というのを全面に出して読者に電子工作の敷居を下げて興味が持ってもらおうとしています。
作中では工作のシーンは多く登場しますが、技術的な説明は最小限で電子工作や理系の知識がない人でも楽しんで読むことが出来ます。
普段生活をしていていると聞くことがない知識や情報が豊富で、エンジニアの方は思わずニヤッとする場面があり、知的好奇心を満たす素晴らしい漫画です。
ハチミツとクローバー /羽海野チカ
タイトル:ハチミツとクローバー
作者 :羽海野チカ
連載期間:2012年~2013年
巻数 :全10巻
美術大学を舞台にした恋愛に不器用な大学生達の報われない恋模様や、自身の才能や生き方について迷う学生の姿を描いた青春物語です。
主人公で美大生の竹本祐太は父親を早くに病気で失っており、母子家庭で母を支えることに生き甲斐を見出していましたが、母の再婚により生きる目標を失い、手先が器用だったことから何となく美大に入学することにします。
同じアパートに暮らす同大学の先輩である森田忍や真山巧らに囲まれ大学生活を送り、美大一の才能を持ち、変人で問題児でとして知られる森田に振り回される毎日を過ごします。
竹本は森田の才能に嫉妬しつつ、劣等感を抱くのですが、才能あふれる仲間に囲まれながら青春を過ごす中で成長していきます。
このマンガは美術大学を舞台にした若者たちの恋愛や将来に対する不安、そして輝ける青春を描いた青春恋愛マンガで、2003年に第27回講談社漫画賞少女部門を受賞し、宝島社の「このマンガがすごい!」オンナ編の2006年版と2007年版において、2年連続1位を獲得した傑作です。
美術大学に通った事がある方なら分かる内容が盛りだくさんで、美術に対する才能の捉え方、考え方等がかなり共感できます。
読み終えた後「こんな青春時代を過ごしたかったなー」と少しさみしくなりますが、大変満足感のある作品です。
2005年、2006年にアニメ化、2008年にはテレビドラマ化しています。
Another(アナザー) /原作.綾辻行人 漫画.清原紘
タイトル:Another(アナザー)
作者 :原作.綾辻行人 漫画.清原紘
連載期間:2010年~2011年
巻数 :全4巻
26年前に事故で死んだ生徒を卒業まで”いるもの”として扱った結果、その後の3年3組では一人の生徒を”いないもの”として扱い続けなくなった呪いをめぐるミステリ・サスペンス漫画です。
主人公の榊原 恒一は東京に住んでいましたが父親が海外へ仕事の関係で赴任することになったことや、持病の療養の為に亡き母の故郷で祖父母と生活を送ることになりました。
恒一は転校初日に自然気胸が再発したことで登校できず、そのまま1ヶ月ほど入院することになります。
その後の回復は順調で、新しいクラスの代表が病院に見舞いで訪れるのですが、当たり障りのない会話の最後に「不思議な質問」を受けることになります。
そして退院後に学校に通うにあたり、3年3組の副担任で叔母でもある三神 怜子から3年3組に存在する3つの取り決めの説明を受けて、その一つに『クラスの決めごとは絶対にまもるように』というものがあり、登校初日にクラスメイト全員が何かに怯えているような違和感を覚えます。
そしてクラスメイトの一人で不思議な存在感を放つ見崎 鳴が、恒一以外からまるで見えておらず3年3組に存在していない”いないもの”として振舞われていることに疑問を持ちます。
恒一はクラス全員が何かに怯えている事や、鳴を見えていないように振舞うクラスメイトの違和感に対する疑問を解決するために彼女に話しかけたところ、鳴から3年3組は死に近いところにあり”もう始まってるかもしれない”との警告を受けることになります。
この漫画はミステリー界に大きな影響を与えた作家の綾辻 行人の代表作の一つである「Another」をコミカライズした作品です。
「Another」はホラーとミステリー・サスペンスを融合させた独特の雰囲気が特徴的で、本作を原作として漫画作品だけではなく、アニメ化や実写映画化もされており、ミステリ小説が原作としては非常に有名な作品です。
漫画版は原作である小説版に比べると、登場人物の生死や犠牲者の死因などが改変されており、登場人物に関連する小ネタが随所に盛り込まれています。
また、漫画での読者層を意識したことで「学園青春もの」として強く意識されており、学園生活や主要人物の人間関係を示す描写が細かく描かれています。
この漫画は一度読み終えてオチを知った後にもう一度読み返したくなる作品で、読み返すことで気が付く様々な伏線があり、それを確認しながら読み進めるという意味で「2度楽しめる」ミステリ・サスペンス作品と言えます。
小説版、映画版、アニメ版はこちらです。
のぼる小寺さん /珈琲
タイトル:のぼる小寺さん
作者 :珈琲
連載期間:2015年~2017年
巻数 :全4巻
女子高生がボルダリングというスポーツに真剣に打ち込み、青春の日々を送る日常を描く青春漫画です。
高校のクライミング部に所属する小寺さんはボルダリングに魅了され、ただひたすらボルダリングというスポーツに打ち込んでいます。
彼女はまじめでひたむきな性格で、誰よりも黙々とボルダリングという競技に真剣に取り組む姿は魅力的で、同じクライミング部の仲間や周囲の人を感化させて、仲間と共に成長していきます。
日々クライミング部でトレーニングを積む小寺さんは、やがてクライミング部の仲間と共にボルダリングの大会に出場することになります。
世には多くの漫画があり、登山漫画はいくつかありますが、ボルダリング漫画はめずらしいのではないでしょうか。
このマンガは全巻を通して読むと気が付くのですが、冒頭でボルダリングのルールを読者に伝えるのではなく、女子高生の高校生活を描写したゆるい日常系マンガとしてスタートして読者を広くつかんでいます。
ボルダリングの大会に出場して挫折を経験して仲間の成長を描き、その後再び大会に出場するのですが、このあたりでボルダリングのルールの解説などを行い、読者をボルダリングの世界に引き込みます。
ボルダリングの魅力を読者に無理なく伝える話の構成がとてもよくできていて、青春マンガとしてもボルダリングの入門書としても非常に魅力的な内容です。
なにより、一つのことに真剣に取り組む姿は普段忘れがちな”情熱を注ぎ何かに打ち込む楽しさ”を思い出させてくれます。
デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション /浅野いにお
タイトル:デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション
作者 :浅野いにお
連載期間:2014年~2022年
巻数 :全12巻
突如巨大な円盤が現れ「侵略者」より攻撃を受けた事で多くの死者を出した円盤騒動事件から3年たった東京の渋谷を舞台にしたSF青春漫画です。
主人公で女子高生の小山門出は3年前に巨大円盤である宇宙船が現れた際に父親を亡くして、母は円盤騒動による汚染物質を避けるために東京を離れている為、門出は一人暮らしをしています。
「侵略者」は母船から小型円盤が定期的に出撃してきますが、自衛隊はそれに対して有効な対抗手段を持っており、逐次迎撃をするといったことが日常となっています。
その為、3年前の円盤襲来の頃のような緊張感が無く、上空には母艦の円盤が浮いたままになっています。
自衛隊と侵略者との戦闘が時折行われることが日常となった東京で、小山門出は友人たちと共に青春を謳歌します。
この漫画は突如上空に巨大な円盤が出現して「侵略者」により日常的に攻撃を受けて自衛隊と小競り合いが続く東京を舞台にした主人公を中心とした青春の日常を描く物語です。
侵略者の目的が分からないまま自衛隊との戦闘が続く中、日本政府は政治的な目的の為に侵略者との戦闘を継続しており、もはや巨大宇宙船がそこにあることが日常となっています。
日常の中に非日常の円盤騒動が加わるのですが、この円盤により人類が滅亡する事が物語の冒頭で示唆されており、人類の終末へと続く物語がどのようになるのか、今後の展開が非常に気になるマンガです。
BLUE GIANT /石塚真一
タイトル:BLUE GIANT
作者 :石塚真一
連載期間:2013年~
巻数 :BLUE GIANT 全10巻 BLUE GIANT SUPREME 全11巻 BLUE GIANT EXPLORER 既刊7巻
宮城県仙台市を舞台にした高校生がジャズと出会ったことでサックスプレイヤーを目指す青春熱血音楽漫画です。
主人公の宮本大はバスケットボール部に所属するどこにでもいそうな高校生ですが、将来何になりたいかがわからず高校生活を送っていたところ、ある日ジャズの曲を耳にしたことで音楽に興味をひかれ、初めてのライブハウスでのジャズの生の演奏を目の当たりにして衝撃を受けます。
この事がきっかけで大はサックスプレーヤーを目指すことを決めて独学でテナーサックスの練習に励むようになります。
大は非常に努力家で毎日の練習を欠かすことなくサックスを吹き続け、やがて高校卒業と同時にプロを目指すために上京することになります。
この漫画はジャズという多くの方が聞いたことはあるのになじみのない音楽ジャンルをテーマにした青春マンガで、ジャズがどういった物なのかを知らない人が読んでも興味が持てるような内容になっています。
ヤマハ音楽教室とコラボレーションを行うなど日本のジャズ業界ではかなり注目されているマンガで、ジャズは「おしゃれな音楽」というイメージがありますが、非常に激しく力強い音楽で、初めて知るジャズの世界とその魅力に読者を虜にします。
サックスプレイヤーとして仙台から東京に出て活躍をしますが、「BLUE GIANT」は10巻で終了し、「BLUE GIANT SUPREME」はドイツを舞台にした内容で実質の続編となっています。
化物語 /原作.西尾維新 漫画.大暮維人
タイトル:化物語
作者 :原作.西尾維新 漫画.大暮維人
連載期間:2018年~
巻数 :既刊19巻(2022年12月現在)
日本の田舎町を舞台とした怪異に関わる出来事をメインとしたストーリーで、主人公と周囲の人々が怪異にまつわる事件を解決していく青春ファンタジー漫画です。
主人公で高校生の阿良々木暦は、春休み日本の田舎町で吸血鬼と出会ったことで、人間ではなくなりますが、その後協力者のおかげで再び人間としての生活を取り戻します。
その後、普通の高校生活を送っていましたが、5月のある日、ひょんなことから2年ほど会話すらしたことがないクラスメイトである戦場ヶ原ひたぎの秘密を知ることになります。
ひたぎにはおおよそ体重と呼べるものがほとんど無く、彼女の話では2年前に1匹の不思議な「蟹」に出会ったことで、彼女の「重さ」を根こそぎ持っていかれたとのことで、彼女の体重は平均的な体格にもかかわらず5kgしかありませんでした。
暦は春休みに遭遇した怪異との事件を解決した忍野メメという怪異の類の専門家を頼り、ひたぎの問題を解決するために奔走します。
この漫画は小説家の西尾維新が原作の「化物語シリーズ」を大暮維人がコミカライズした作品で、巨匠同士がタッグを組んだ大作です。
化物語シリーズはアニメが有名な作品で、これまで多くのアニメシリーズが放送されており、原作よりもアニメの方が多くの方に認知されています。
漫画版は原作とアニメ版の間ぐらいの仕上がりといった感じで、個人的には原作にあった「言葉遊び」が分かりやすく表現されているのがポイントが高いです。
アニメ版では文字に起こされずセリフで収まっていたことで伝わりにくかった表現が、漫画というメディアになったことで文字に起こされ、アニメファンから見ると「ああ、こういう表現だったんだ!」というアニメではわかりにくかったところが補完されています。
その為、アニメファンは漫画版を読むことで新たな発見がありますし、原作ファンも良い意味でアレンジが加わったキャラクター描写が楽しめる作品に仕上がっているので、従来の「化物語シリーズ」のファンを再度取り込むような作品となっています。
小説版はこちらです。
アニメ版はこちらです。
かくかくしかじか /東村アキコ
タイトル:かくかくしかじか
作者 :東村アキコ
連載期間:2012年~2015年
巻数 :全5巻
漫画家の東村アキコによる自身の高校生・美大生時代と絵の恩師との関係を描いた作品で、有名漫画家になるまでの成長を描く自伝エッセイ漫画です。
主人公の東村アキコは宮崎県の片隅で伸び伸びと育ち、幼少の頃より自分は絵の天才だと考え、将来は少女漫画家になることを夢見ていました。
高校生3年の頃に将来は美術大学に進学して漫画家としてデビューするという夢を持ち、絵画教室の美大進学コースに入ります。
しかし画家で講師でもある日高健三に今までの持っていた自意識過剰な自信を打ち砕かれ、竹刀とアイアンクローのスパルタ指導が始まります。
厳しいながら面倒見の良い日高先生に指導してもらいながら、若かりし東村アキコが美大合格をめざして奮闘します。
このマンガは絵を描く人なら誰しもが共感できる内容がもりだくさんで、東村アキコの心情を包み隠さずしっかりと描いている事にも共感し、すごく物語に引き込まれます。
絵が上手くて天狗になっている東村アキコを画家であり講師でもある日高健三に打ち砕かれ、その後長く師弟関係が続きます。
2015年に第8回マンガ大賞および第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞している傑作で、最後は涙無しでは読めません。
銀の匙 Silver Spoon /荒川弘
タイトル:銀の匙 Silver Spoon
作者 :荒川弘
連載期間:2011年~2019年
巻数 :全15巻
北海道の農業高校に通う主人公とその友人たちを描いた学園青春漫画です。
主人公の八軒勇吾は高校受験に失敗したことで、父親から離れたい一心で志望校ではない寮制の大蝦夷農業高等学校に進学します。
八軒は農業や酪農といったものに経験がなく、夢もビジョンもなく父親から逃げるため入学したことに引け目を感じることになります。
授業の実習では体力を必要として、慣れない家畜の世話を経験したり、仲間と学ぶことで次第に学園生活に打ち解けていきます。
やがて八軒は大蝦夷農業高等学校でやりたいことを見つけて学園生活を楽しむようになり、将来の夢を描くようになります。
この漫画は作者の荒川弘自身が北海道にある酪農家の生まれで農業高校卒業生しており、その実体験を元に描かれた漫画です。
マンガの舞台となる大蝦夷農業高等学校は、帯広農業高等学校がモデルになっており、内容が非常にリアルで良く取材がされています。
その為、現在の酪農家の抱える問題などにも触れており、かなり社会派のマンガの様相も見れます。
学園青春マンガとしても大変面白く、八軒の成長やかかわりを持つ様々な人の人間ドラマが面白く、読んでいて大変満足感の高い作品です。
2013年、2014年にアニメ化、2014年に実写映画化しています。
バクマン。 /原作.大場つぐみ 漫画.小畑健
タイトル:バクマン。
作者 :原作.大場つぐみ 漫画.小畑健
連載期間:2008年~2012年
巻数 :全20巻
漫画家を目指す中学生の二人が漫画家になる夢をかなえ、漫画の世界や出版の世界に深くかかわっていく青春漫画です。
主人公で中学3年生の真城最高は高い画力を持ちますが、ただ流されて普通に生きていくだけの退屈な日々を送っており、将来への夢を持てずにいました。
真城の叔父はかつて週刊少年ジャンプに連載し、その作品がアニメ化もされた漫画家「川口たろう」で、連載打ち切り後の過労によって亡くなった過去がありました。
もう一人の主人公である作家志望の高木秋人は真城の画力の才能を見出し「俺と組んでマンガ家にならないか」と誘います。
初めはその誘いを断っていましたが、声優を目指している片思いのクラスメイトである亜豆美保と「真城の漫画作品がアニメ化したら結婚する、それまで互いに直接会わない」と約束した事から高木の誘いを受けて漫画家への道を志す事になります。
この漫画は実在する出版社や漫画作品が登場して、主人公たちが連載される漫画雑誌も実際に連載している「週刊少年ジャンプ」であったりと、出版業界の裏側を赤裸々に語ります。
また、漫画家を目指すというのがどれだけ大変であるかという事と、漫画とは絵が上手いだけでは成立せず、ストーリーが重要であることをしっかりと読者に伝え、原作者の重要性をかなり前面に出しています。
物語は連載開始時と同じ2008年から始まり、話の進行によって現実世界を追い越しますが、作者が「常に現代ぐらいに思って読んで頂けると助かります」と述べており、時代を追った出版業界の実情を垣間見れる面白い作品です。
2010年、2011年、2012年にアニメ化、2016年に映画化しています。
グレイプニル /武田すん
タイトル:グレイプニル
作者 :武田すん
連載期間:2015年~
巻数 :既刊13巻(2023年4月現在)
日本のとある町の近くの山に宇宙船が墜落したことにより、不思議な変身能力を持つようになった男子高校生が主人公のSF青春バトル漫画です。
主人公で高校生の加賀谷修一は、ある時から自身の身体に異変を感じており、誰にも相談できずに一人悩みます。
身体に起きた異変とは「異常な嗅覚」と「着ぐるみを模した姿に変わってしまう変身能力」で、このことが周囲の人にバレないかと心配しながら生活を送っていました。
ある日、修一は近所の建物で火事が起きているのに気が付き、中に取り残された青木紅愛を助けるために「着ぐるみのバケモノ」に変身して助けますが、携帯電話を落としてしまったことで紅愛に修一の正体がバレてしまいます。
紅愛は修一と同じように「変身できる人間」を探しており、修一に近づき「正体をバラす」と脅して協力を求めます。
紅愛の求める協力とは両親を殺して失踪した修一と同じように変身能力を持つ姉の消息を追うことでした。
この漫画は一見「ゆるキャラ」に見える着ぐるみに変身できる能力を持った主人公と、両親を殺して失踪した姉を追うヒロインが、墜落した宇宙船の謎を追うSF青春バトル漫画です。
修一が持つ着ぐるみを模した姿に変わってしまう変身能力は文字通り「着ぐるみ」で、中身がらんどうになっており、人が入ることが出来るようになっています。
修一の変身能力は「他人を自分の中に入れることで弱さを補う」ものとなっており、変身能力の持たない普通の人間である紅愛が中に入って「操縦」することで身体能力が増します。
修一が変身する力を手に入れたきっかけは、町の近くの山に墜落した宇宙船からまき散らされたコインがきっかけで、生き残った宇宙人はコインを集める為に人間を利用し、コインを1枚集めるごとに変身能力を与えていました。
宇宙人がコインを集める理由は、コインに宇宙人の同胞のデータが詰まっており、宇宙船が墜落した際にバラバラに散らばってしまった仲間を助ける為で、宇宙人はもっと多くの同胞を助けるためにコインを100枚集めた人間にはさらなる力を与えることを約束します。
修一と紅愛はコインにより変身能力を身に付けた者同士の戦いに巻き込まれることになります。
3月のライオン /羽海野チカ
タイトル:3月のライオン
作者 :羽海野チカ
連載期間:2007年~
巻数 :既刊14巻(2018年12月現在)
将棋の棋士で高校生の主人公が様々な人と触れ合いながら成長していく青春漫画です。
主人公の桐山零は幼いころに家族を交通事故で無くし、父の友人で棋士である幸田に内弟子として引き取られて才能を開花して、15歳でプロ棋士になります。
しかし、幸田の実子たちとの軋轢もあり、零は幸田家を出て1人暮らしを始め、1年遅れで高校に編入しますが、学校生活では周囲に溶け込めず孤立することになります。
零はある日、先輩棋士に無理やり付き合わされて酔いつぶれ、倒れてこんでいたところを川本あかりに介抱されたことがきっかけで、川本家の三姉妹と交流を持つようになり、人との触れ合いを取り戻します。
この漫画は少女マンガ家の羽海野チカが少年誌で連載を始めたことで話題になった棋士をテーマにした漫画で、将棋の熱気や迫力が大変伝わってくる熱い漫画です。
主人公の零は15歳でプロ棋士になるも、順風満帆な人生とは言えず一人苦悩しています。
そうした中、川本家の三姉妹と交流を持つことで人としての温かみや触れ合いを取り戻し、人として成長していく様は見ていて大変面白いです。
絵柄から想像のつかないほど棋戦が熱いマンガで、零とその周囲の人が成長していく青春マンガとして大変面白い内容となっています。
2016年、2017年にアニメ化、2017年に実写映画化しています。
orange -オレンジ- /高野苺
タイトル:orange -オレンジ-
作者 :高野苺
連載期間:2012年~
巻数 :既刊6巻(本編5巻)
長野県松本市が舞台の高校生の青春を描いたSF青春恋愛漫画です。
女子高生の主人公、高宮菜穂は2年生になった4月の始業式の日に自宅のポストで手紙を受け取ります。
その手紙の差出人が10年後の自分からでした。
手紙の内容は26歳となった10年後の自分は後悔をしており、16歳の自分に対して同じ後悔をしてほしくない為に、今後菜穂に起きる事やそれに対しての行動選択が書かれていました。
菜穂は、初めは誰かのいたずらと思っていましたが、手紙に書かれていた通り始業式の日に成瀬翔が転校してきます。
手紙には菜穂は翔を好きになることや、翔が17歳の冬に自殺とも疑われる事故で亡くなったことが書かれており、10年後の菜穂は翔の死を防げたのではないかと後悔していることが書かれていました。
10年後の自分から届いた手紙の目的は翔は事故から救うことと分かり、菜穂は未来を変えるため手紙に書かれている行動を選択するよう努力することになります。
このマンガは青春恋愛もののマンガがベースですが、「未来の自分から届いた手紙」というSF要素が加わった漫画作品です。
手紙に書かれている内容はその時々で未来を決定づける出来事と、その時に取るべき行動内容が書かれているのですが、全ての行動選択ができたわけではなく、さらに指定された行動をとることで未来に変化があり、予測していないことが起きるなどタイムパラドックの要素も含まれています。
SFの要素としては「未来からの手紙」「タイムパラドック」といった限られた内容なので、青春恋愛マンガとして楽しめます。
この作品は2015年に実写映画化しており、2016年にはアニメ化もしております。
2017年にアニメ化、2016年に実写映画化しています。
坂道のアポロン /小玉ユキ
タイトル:坂道のアポロン
作者 :小玉ユキ
連載期間:2007年~2009年
巻数 :全10巻(番外編1巻)
1966年の長崎県の佐世保市を舞台にした高校生達の青春音楽漫画です。
主人公で高校1年生の西見 薫は父親の仕事の都合で、幼い頃から何度も転校を繰り返してきており、秀才で真面目ですが繊細な性格で人付き合いが苦手でした。
薫は佐世保市の高校へ転校してきた際に渕 千太郎と出会います。
千太郎は大柄で野蛮で豪快かつ型破りな性格で薫とは正反対の性格ですが、明朗で面倒見が良く正義感も強い少年でした。
薫は小学生の頃からピアノの演奏をしており、クラシックしか演奏していませんでしたが千太郎との関りの中で、未経験のジャズに挑むようになります。
この事がきっかけで薫はジャズを知るようになり、千太郎はドラムを叩き、薫はピアノ演奏してジャズの魅力に惹かれていきます。
この漫画は舞台が1960年代と現在とは大きく異なり、地方の穏やかな雰囲気とノスタルジックが感じられ、現在の高校生活とは大きく異なりますが、そういった時代背景等も楽しむことのできる漫画作品です。
ジャズがマンガのテーマになっていますが青春マンガの要素も多く、正反対の性格の薫と千太郎がジャズによって友情を深めていきます。
また、この漫画は少女漫画らしい恋愛要素を軸にしており、様々な登場人物が絡み合い、恋愛漫画としてもかなり面白い内容となっています。
2012年にアニメ化され、文化祭でのピアノとドラムによるセッションシーンの素晴らしさが当時話題になりました。
2012年にアニメ化しています。
四月は君の嘘 /新川直司
タイトル:四月は君の嘘
作者 :新川直司
連載期間:2011年~2015年
巻数 :全11巻
中学生のピアニストとヴァイオリニストを題材とした青春音楽漫画です。
主人公の有馬 公生は幼少の頃より音楽の指導者であった母の影響を受けて、正確無比な演奏を行い多くのピアノコンクールで優勝してきました。
しかし11歳の時に「コンクールで優勝する為の演奏」ではなく感情を込めた演奏を行ったことで母親と喧嘩をすることになり、その直後に母親が亡くなってしまった為、トラウマとなり演奏中に自分が弾くピアノの音が聞こえなくなるという症状を発症してしまいます。
それから3年後の4月に14歳になった公生は幼なじみの澤部 椿を通じて、同い年のヴァイオリニストの宮園 かをりと知り合い、かをりの圧倒的で個性的な演奏を聴いたことで公生は再び音楽の道に戻るきっかけとなります。
しかしこのかをりとの出会いは偶然ではなく、かをりの小さな「嘘」が含まれたものでした。
この漫画はピアニストとヴァイオリニストという主人公とヒロインが異なる楽器をテーマにした「音楽・青春・恋愛」と多くのジャンルを網羅した素晴らしい漫画です。
かをりは身体を蝕む病を患っていることを秘密にしていましたが、やがて学校を休んで入院生活が続くようになっていきます。
かをりの病気は次第に物を持ったり歩くことが困難になる病気で、容態は悪化の一途を辿ります。
かをりの公生に対しての「嘘」はこうしたことから生まれ、物語の最後に公生に「嘘」をついた理由を明かすのですが、最後は涙無しでは読めず電車や人目に付くところ読むのは危険なマンガです。
読み終わったあと心を鷲掴みにされ、すぐに1巻から読み返したくなるお勧めのマンガです。
2014年にアニメ化、2016年には「山崎賢人」「広瀬すず」で映画化しています。
それでも町は廻っている /石黒正数
タイトル:それでも町は廻っている
作者 :石黒正数
連載期間:2005年~2016年
巻数 :全16巻
東京の下町を舞台とした女子高生が主人公の彼女の周りで起きる日常の出来事を描く日常系SFコメディー青春漫画です。
主人公で女子高生の嵐山歩鳥は元気で明るい性格で人当たりも良く、喫茶店でメイドのアルバイトをしています。
歩鳥はジティブな思考で、あり余る行動力を持ち、日常の様々な出来事に対して善意から行動を起こすことが多いのですが、周りを巻き込んでのトラブルや騒動に繋がる結果になります。
推理小説が好きで将来の夢は女子高生探偵で街の事件に関わりますが、時には鋭い推理力を発揮して事件を解決します。
歩鳥は日常を送りながら様々な人と出会い、さらに少し不思議な出来事を体験しながら、青春時代を過ごしていきます。
この漫画は女子高生の主人公を中心とした日常の出来事を面白おかしく描いた日常系コメディ漫画なのですが、時折パラレルワールドなど突拍子もないSF要素も登場するジャンルの幅が非常に広いマンガです。
基本的には一話完結の形となっているのでテンポよく読むことが出来ます。
作者自身が「商店街を舞台にしてコミュニケーションの教科書になるようなマンガを描きたい」と語っており、商店街との人のつながりが深いアットホームな物語が多く、万人受けしそうな内容のマンガとなっています。
2010年にアニメ化しています。
G戦場ヘヴンズドア /日本橋ヨヲコ
タイトル:G戦場ヘヴンズドア
作者 :日本橋ヨヲコ
連載期間:2000年~2003年
巻数 :全3巻
漫画家の父を持つ青年と、編集者の父を持つ青年の友情と漫画に対する葛藤や成長を描く青春漫画です。
主人公の一人で高校生の堺田町蔵は、父が人気漫画家という小説家志望の高校生です。
家庭に問題を抱えており、母親が家を出て行ったときに、漫画を描くことを優先して母を止めなかった父を恨んでおり、そのことで父と父の漫画作品を恨んでいます。
もう一人の主人公である高校生の長谷川鉄男は、父が敏腕編集者で天才的な漫画の才能を持ちますが、 幼少の頃に離婚して出て行った父親に見せようと描いた漫画を母親に否定されてモチベーションを失い、以来漫画を描くことをやめていました。
町蔵は父の漫画作品をほめた鉄男とトラブルを起こし、それをきっかけに鉄男と合作漫画を作ることになります。
この漫画は漫画家をテーマにした青春マンガですが、非常に物語が奥深く何度も読みたくなる不思議な魅力を持つ作品です。
物を作るというクリエイティブな仕事をしている方には是非読んでほしい作品で、魂を揺さぶるような熱き想いや感情がにじみ出で来る内容で、読む者を物語に引き込みます。
タイトルは「マンガの世界という戦場でGペンの線を走らせる中で、数少ない人間だけがその向こう側にたどり着ける境地=『ヘヴンズドア』」という意味で、絵を描くという事、マンガの物語を考えるという事が魂を削り表現していることを感じさせられます。
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最後に
恋愛や感動、情熱といった内容をテーマにしたおすすめの青春作品はいかがでしたでしょうか?
青春時代は誰もが過ごすもので、共感できる内容や出来事というものが何かしらあり、こうした漫画は非常に感情移入しやすく、物語を深く楽しむことが出来ます。
また次回に機会があれば青春漫画のご紹介記事を書きたいと思います。
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